ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

ミュゼ・ドゥ・ももクロを予習する 現代美術に魅せられて-原俊夫による原美術館コレクション展@原美術館

現代美術に魅せられて-原俊夫による原美術館コレクション展@原美術館

 


2017年12月12日
会期:2018年1月6日[土]- 6月3日[日]
前期: 1月6日[土]- 3月11日[日] / 後期: 3月21日[水・祝]- 6月3日[日] *展示替え休館: 3月12日[月]- 20日[火]

  原美術館ももクロがアートと親しむと言うネット配信番組「ミュゼ・ドゥ・ももクロ」の第1回目に選ばれた。美術好きとはいえももクロ佐々木彩夏(あーりん)が訪問する場所とするなら、一緒に仕事したこともある蜷川実花をはじめ、森村泰昌奈良美智名和晃平やなぎみわ束芋などと興味をひきやすそうな作家が並ぶ後期の展示の方が盛り上がりそうではあるのだけれど、こちらの前期は渋いラインナップながらあーりんがなじみがあるピカソなどより新しい抽象表現主義以降の作家やポップアートのアンディ ウォーホルやロイ リキテンシュタインなど欧米の現代絵画の流れが概観できるキュレーションで、現代美術入門としては適当なのかもしれない。
 草間彌生、篠原有司男はともかくとして、庭に箒を並べていた杉本博司の作品などどのように目に映ったろうか。何にまず食いついたろうという予想に対し、一緒に行った妻の予想は3階にあった「風呂のない風呂」(と妻は呼んでいた)だった。私はピンクではないけれど、真っ赤で塗りこめられた作品だったからイブ・クラインかなと予想。
 ちなみに下の写真のケーキが模していたのはナム・ジュン・パイクの作品。

展示物をモチーフにしたケーキセット(原美術館カフェにて)

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【出品作家】
【前期】 アメリカの作家では、戦後絵画に大きな影響を与えた抽象表現主義のジャクソン ポロックやマーク ロスコ、その後続世代を代表するロバート ラウシェンバーグやジャスパー ジョーンズ、世界を席巻したポップアートの代表者であるアンディ ウォーホルやロイ リキテンシュタインなど。そして、前衛的・実験的精神に溢れたヨーロッパの作家たちとして、絵画のジャン デュビュッフェやカレル アペル、彫刻のアルマン、セザール、ジャン ティンゲリーなど。日本の作家では、戦後日本美術を牽引した今井俊満河原温工藤哲巳、宮脇愛子など。また、今も現役で活躍する作家たちでは草間彌生、篠原有司男、杉本博司李禹煥。さらに世界に影響を与えたアジアの作家として、ナム ジュン パイク、艾未未(アイ ウェイウェイ)。
前期出品作品リストはこちらへ(PCから)。

【後期】 安藤正子、荒木経惟、ヤン ファーブル、加藤泉、ウィリアム ケントリッジ森村泰昌奈良美智名和晃平蜷川実花野口里佳、マリック シディベ、杉本博司束芋、ミカリーン トーマス、アドリアナ ヴァレジョン、やなぎみわ(予定・調整中)

「Musee du ももクロ ~アートの学びをデザインする~」に期待する

www.cinra.net

simokitazawa.hatenadiary.jp

natalie.mu

Musee du ももクロ ~アートの学びをデザインする~

 ももクロがアートを学び、紹介するという番組「Musee du ももクロ ~アートの学びをデザインする~」が2月15日から毎週木曜日にテレ朝動画でスタートすることになった。

   詳しい内容は番組が実際に始まってみないと分からないのだが、監修に以前からももクロと懇意な武蔵野美術大学空間演出デザイン学科の片山正通教授(インテリアデザイナー、ワンダーウォール代表)が入り、第1回はあーりんが原美術館でロケ。出演者に韓国出身のモデルで武蔵野美術大学大学院造形研究科在学中のベック(片山教授の教え子?)や美術評論家の橋本麻里が告知されている。

 原美術館では現在『現代美術に魅せられて―原俊夫による原美術館コレクション展』が開催されており、現代美術を俯瞰してみる入門編としては最適の展示ともいえる。あーりんはモノノフに美術好きでも知られるが、好きで見ているのは印象派からせいぜいピカソぐらいと見られ、冒頭にこの美術館を持ってきたことに現代美術も含めてアートの最前線にも触れ合ってもらおうという番組側の並々でない意欲が感じられる。

 美術作家とのトークやアートパフォーマンス鑑賞なども内容の一部として紹介されているので、ぜひももクロライブにも関わったことのある真鍋大渡とのトークも取り上げてほしい。個人的には以前、ももクロのパフォーマンスと関連して論じた(上記)ことがあるニブロールや東京デスロックの作品鑑賞などもどこかで入れてほしいと思う。

 

モノノフによるアイドルミステリ 太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」

太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」

太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」読了。著者のミステリ作家、太田忠司さんは玉井詩織推しのモノノフ(ももいろクローバーZのファン)。この本の主人公は元SPの警備会社社長、万屋大悟。娘が地方都市に活動の拠点を置く、5人組のローカルアイドル「marshmallow15(いちご)」のリーダーをやっていて愛称は「ちおりん」(万屋知識)。コアな観客が十数人というローカルなアイドルではあるが、この5人組、最初は6人いたが、活動初期にひとりが離脱して現在は5人など明らかにあの国民的5人組女性アイドルグループを思わせるところがありありなのだ。

 ミステリファンだけではなく、モノノフ必読の一冊。これを原作にぜひテレビドラマをなど言いたいところだった*1のだが、実はこの本を読んでいる途中で杏果の卒業が発表になってそれどころじゃなくなった。歌が一番上手いメンバーの脱退騒動などの顛末もあり、現実のシンクロ具合いがしゃれではすまない。読んでいて胸が痛くなる場面が随所に出てくるのだ。

 私は緑推しではあるけれどもうこうなったら、作者にはここまで書いたならあのメンバーはきちんと脱退、ソロ歌手デビューをさせてあげてほしい。そして、4人となったアイドルグループの後日談もちゃんと書いてほしい。そして、「万屋大悟のマシュマロな事件簿」では万屋大悟は活躍してもメンバーの活躍の場面は限られていたから、今度は赤川次郎の「四姉妹探偵団」のようにメンバーの4人も事件解決に関与するようなものにしてほしい。その方がドラマ化の可能性も上がるのじゃないかと思うのだが……。

 

万屋大悟のマシュマロな事件簿

万屋大悟のマシュマロな事件簿

 

 

*1:ドラマになったことはないのに表紙に遠藤憲一が使われていることなど作者自身にその色気ありありである

映画「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」@新宿バルト9


映画『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』予告

映画-Saki-阿知賀編 episode of side-A」@新宿バルト9

  映画「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」は「咲-Saki-」の続編。キャストにアイドルや若手女優を揃え、漫画、アニメの原作にそっくりなルックス、役柄作りをさせるという方針で映画化しているのが特徴。

 アイドルではいろんなグループが参加しているが、スターダストプロモーションでは前編に私立恵比寿中学エビ中)所属(当時)のぁぃぁぃが出演したこともあってか今回は物語の中心となる阿知賀女子学院のメンバー5人のうちのひとり、鷺森灼役にエビ中中山莉子が選ばれた。ライバル校、千里山女子高校のエースで1巡先を見通すという特殊能力の持ち主、園城寺怜役にチームしゃちほこの咲良菜緒が抜擢されたほか、江口セーラ役に桜エビ~ずの水春が起用された。

 おそらくキャスティングはオーディションもあったと思われるため、前回のぁぃぁぃの高評判もあって、選ばれた3人以外にもスタダ勢は大挙して駆けつけたんじゃないかと思うのだが、その中で勝ち残ったのが3人。

 中でもライバル高校の選手ながらも病身を鞭打ち、最強の白糸台、宮永照を相手に準決勝先鋒戦で死闘を繰り広げた園城寺怜は全出演者のなかでも印象的な存在。咲良菜緒はこの準主役級といってもよい役どころを見事に演じきったが、これはもうけ役だったのではないか。とはいえ、チームしゃちほこの中でもさばさばとした性格に見えて、病弱感がまったくない咲良が本当にこの役柄でよかったのかどうかというのは若干疑問を感じなくもないのだが。

 映画のセリフとしてもっとも印象的だったのは深山幽谷の主、高鴨穏乃の「そこはもうあなたのテリトリーじゃない」という言葉。物語のもうひとりの主人公である咲があやつるリンシャンカイホウはすべてこの「深山幽谷の主」が支配する牌の山の最も奥にある。はやく決勝戦が見たい。果たして咲はそのエリアでは大星淡の支配力も天江衣の支配力も無効化する穏乃に立ち向かうことができるのだろうか。

 

原作:小林 立、作画:五十嵐あぐり

阿知賀女子学院. 高鴨 穏乃:桜田 ひより 新子 憧:伊藤 萌々香 松実 玄:恒松 祐里 松実 宥:渡邉 幸愛 鷺森 灼:中山 莉子. 千里山女子高校. 園城寺 怜:咲良菜緒 清水谷 竜華:小倉優香

奇跡の5人の到達点 「MTV Unplugged: Momoiro Clover Z」@MTV

MTV Unplugged(MTVアンプラグド): Momoiro Clover Z」@MTV 

セットリスト
1. サラバ、愛しき悲しみたちよ 
2. WE ARE BORN 
3. DNA 狂詩曲 ●
4. BLAST! 
5. モノクロデッサン 
6. 今宵、ライブの下で
7. ⽩い⾵ ●
8. ⻘春賦
9. マホロバケーション
10. ⾏くぜっ!怪盗少⼥
11. ⾛れ!
12. MOON PRIDE
13. 灰とダイヤモンド

●はテレビでは放映されず。

 これほど楽しみしていたライブ放映もなかったのだが、それがこれほど胸を締め付けられるような気持ちに変わってしまうとは……。アンプラグドでのももクロが素晴らしいということはフォーク村での演目でもある程度分かっていたことだが、このライブは格段の集中力で文字通り「5人のももクロ」の集大成だった。CSでの放送ゆえに一般の人の目に触れにくいのがもどかしい。このライブの映像を一度でも見たら「ももクロは歌が下手だ」などという人はいなくなると思うのに。アンプラグドだといつものライブよりもより、個々の声が粒だって聞こえてくる。それゆえに単純に素晴らしいというだけにとどまらず、「BLAST!」「灰とダイヤモンド」など分かりやすいソロ歌唱部分だけではなく、5人の声が重なる部分などでの下ハモなど縁の下の力持ち的な役割で、杏果が支えてきた部分がももクロ特有のユニゾンやハーモニーに貢献してきたかが、はっきりと分かった。それは「灰とダイヤモンド」の歌詞ではないが今後4人で越えていかなければならない壁の巨大さを改めて感じさせるものでもあった。