ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

「ダンスパフォーマンスとしてのアイドル Perfume×ももクロ×乃木坂 ~振付家に聞く~」@SCOOL セミネールin東京vol.3

** 「ダンスパフォーマンスとしてのアイドル Perfume×ももクロ×乃木坂 ~振付家に聞く~」@SCOOL セミネールin東京vol.3
2018年4月24日19時半~
主宰・中西理(演劇舞踊評論)
ゲスト・木皮成(振付家・ダンサー)
www.youtube.com
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 演劇あるいはコンテンポラリーダンスを対象に開催してきたレクチャー、今回はコンテンポラリーダンスのダンサー、振付家である木皮成をゲストに招き、ダンスの専門家の解説を交えて、パフォーミングアーツの世界から見たアイドルのパフォーマンス(特にダンス)について議論していきたいと考えています。
  取り上げるアイドルについてはPerfumeももいろクローバーZ。さらに多人数のグループアイドルの代表としてゲストの木皮成も少なからず関係したことがある乃木坂46を中心にアイドルのダンスとはどういうものなのかについて考えていきたいと思います。
   木皮成さんはダンサー・振付家。映画「幕が上がる」の先輩の出演劇団の場面で登場する「デジタル」(木皮成とうさぎストライプ)の振付担当し出演も。アイドルに関連しては乃木坂46「アンダー」の振付を担当。近作では木ノ下歌舞伎「勧進帳
のダンス部分を振付しています。


【演目】レクチャー担当 中西理
ゲスト・木皮成(振付家・ダンサー)
www.sharakusei.com

【日時】2018年4月24日(火)p.m.7:30
【場所】三鷹SCOOL にて
【料金】前売:2000円
 当日:2500円 (+1drinkオーダー)

 【予約・お問い合わせ】
●メール simokita123@gmail.com (中西)まで お名前 人数 お客様のE-MAIL お客様のTELをご記入のうえ、 上記アドレスまでお申し込み下さい。ツイッター(@simokitazawa)での予約も受け付けます。
 電話での問い合わせ
090-1020-8504 中西まで。

ameblo.jp

 


http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/10001213

「幕が上がる」プロジェクトの終着駅 青年団第78回公演『銀河鉄道の夜』@さいたま市 プラザノースホール

 青年団第78回公演『銀河鉄道の夜』@さいたま市 プラザノースホール

 

 


原作:宮沢賢治
 作・演出:平田オリザ

 

  「銀河ステーション――。」
―星まつりの夜、一人寂しく夜空を見上げるジョバンニの耳に突如響く車掌の声。親友カンパネルラとともに"本当の幸せ"を求めて様々な星座を旅し、二人の旅の行き着く先は―

出演
井上みなみ 富田真喜 小林亮子 中村真生 鄭亜美
 スタッフ
舞台美術:杉山 至
 照明:西本 彩
 映像:ワタナベカズキ
映像操作:島田曜蔵
 衣裳:有賀千鶴 正金 彩
 舞台監督:河村竜也
 制作:有上麻衣

 



    ももクロが主演した映画と舞台の「幕が上がる」。その中で高校演劇部の部員役を演じた彼女らが演じたのがこの平田オリザ版の「銀河鉄道の夜」だった。もっともこの作品は映画公開以降に青年団の手により、上演されたことはなく、私は2012年頃にももクロに注目するずっと以前から平田オリザの舞台は見ているが、「銀河鉄道の夜」については今回が初の観劇となった。
   通常の劇評で言えば平田オリザがこの宮沢賢治の有名な童話にどのような思いをこめて子供向けの童話劇として上演する事にしたのかなどの疑問を解き明かすところから、書くべきなのであろうが、今回は偶然にも映画、演劇版でカンパネルラ役を演じた有安杏果ももクロを卒業して日もあまり経っていない時点での上演だったこともあり、いろんな思いがこみあげてきて、冷静に受け取ることが難しかった。
   「幕が上がる」プロジェクトと書いたのには理由がある。平田オリザが小説「幕が上がる」を書いたのは欧州ツアーをやるための子供向け作品として「銀河鉄道の夜」を創作した直後で、小説の中で主人公の高校生たちが上演することになるのが「銀河鉄道の夜」で、その意味で平田オリザ版「銀河鉄道の夜」と小説「幕が上がる」は前者がなければ後者はなかった、あるいはまったく異なるものとなっていたという意味で親子のようなものだといってもいいかもしれない。
 そして次の章は「幕が上がる」を原作に映画かドラマを作って、一般の人に演劇について啓蒙できないかと考えていた平田とかねてから平田の演劇に私淑していた人気映画監督、本広克行の出会いである。実は平田はドキュメンタリー映画「演劇1」「演劇2」の神戸での上映会でのアフタートークでアイドルを主演させて自らが書いた小説「幕が上がる」を映画に出来ないかなどと語っていて、その時はおそらく具体的なイメージがあったわけではないと思うが、たぶんぼんやりイメージしていたのはAKB48グループだと思われる。
 それで本広監督とどこかで会った時にその話をしたことがあって、今度はそれからしばらくたってももクロトーク企画に監督が呼ばれた。それはももクロの川上アキラマネジャーが以前に担当していたタレントが本広監督の映画に出た際にその撮影を見たことがあり、監督のことを好ましく思っていた。そのため将来はメンバーに本格的な演技の勉強をさせようとも思っていたこともあり、本広監督を呼ぶことにしたのだ。
 一方で、こちらがどの段階でどのような意思決定が誰の手によってなされたかはっきりしないのだが、ももクロ主演の映画「幕が上がる」を撮影するだけではなく、その撮影の舞台裏をドキュメンタリー映画にした「幕が上がる その前に」も同時に制作。
 それだけにとどまらず次には舞台版「幕が上がる」も制作上演するとともに、平田オリザ脚本の「転校生」を本広監督が演出し上演したのも大きな意味で「幕が上がる」プロジェクトの一環だったといってもいいかもしれない。
 そして、このプロジェクトは実は「幕が上がる その後に」とでもいうべき続編も準備され、喜安浩平によるシナリオもほぼあがっていたらしい。しかし、計画は頓挫した。それというのもプロジェクトが失敗したからではなく、大成功しすぎたためだ。演劇部の後輩役で出演していた芳根京子NHKの朝ドラ「べっぴんさん」のヒロインに抜擢されたほか、吉岡里帆も2015年下半期の「あさが来た」の出演で注目を浴び、伊藤沙莉ももクロ百田夏菜子がやはり朝ドラの重要な役柄で出演と後に続いた。さらにいえば黒木華ムロツヨシも超売れっ子となっており、キャストが再結集することさえ、絶望的なのだ。
 とはいえ、完全に続編の可能性が閉ざしたのは「幕が上がる」で夏菜子に次ぐ主要キャストである中西悦子役を演じた有安杏果ももクロ卒業だった。舞台版「幕が上がる」のラストはこの日の「銀河鉄道の夜」と同じジョバンニとカンパネルラの別れの場面なのだが、「幕が上がる」では有安杏果演じる中西悦子が玉井詩織のジョバンニと別れて「いつか、どこかで」」の言葉を残して天上へと消えていった。この日の舞台にはもちろん杏果はいなかったけれどやはり映画、舞台の「幕が上がる」で印象的な役割を果たした井上みなみがジョバンニを演じ、カンパネルラは天上へと消えていった。そして、その消えていくカンパネルラの姿は舞台版の杏果の演技と二重写しになり、それは1月21日にももクロを卒業、私たちの目の前から消えていった杏果の姿と重ならざるを得ない。私たちが「いつかどこかで」彼女と会える日は来るのだろうか?

映画「幕が上がる」@WOWOWを観劇し杏果卒業を想う


ももクロ夏菜子と杏果の名シーンについて【幕が上がる】

** 映画「幕が上がる」@WOWOWを観劇し杏果卒業を想う

 「幕が上がる」は映画自体は平田オリザの原作小説を基にしながらもももクロのファンにとっては過去にももクロに起こった様々な出来事を想起するように作られている(特に早見あかり脱退のエピソードとの関連性)。

 

 それゆえに(それなのに)この映画を今見るとこの映画の時には予想もしていなかった有安杏果の卒業との偶然の符合をそこここで感じてしまい、本当にせつなくなった。そして、それ以上にこの映画があり、この時の杏果と4人がまるでタイムカプセルのようにいまもスクリーンの向こうで輝いていてくれることに感謝したい思いでいっぱいだ。

 教師をやめて役者への道を選んだ吉岡先生はまるでももクロを卒業することを皆につげ、疾風のように去っていった杏果のようだと思った。この映画のなかで杏果は中西さんを演じていて、それは女優として素晴らしい出来栄えだと今でも思うのだけれど、手紙だけを残して皆の前から消え去ってしまった吉岡先生こそが杏果だ。残された高橋さおりら演劇部のメンバーは名状できないようないろんな思いを呑み込みながら大会に臨むのだけれど、それこそが10周年記念ライブに臨む今の4人の姿ではないか。今はこの映画はどうしてもそんな風に見えてしまう。
  ただ、有安杏果という人はいつも自分のことを過小評価しがちな人だからあえていいたいのだが、「幕が上がる」での女優、有安杏果は本当に素晴らしかった。杏果は中西悦子(中西さん)という役を演じていたのだが、私はスクリーンの中の中西さんにひと目見た瞬間に恋に落ちた。とはいえ、それは杏果が演じた人物ではあったが杏果とはまったく違う人間だった。ももクロの他のメンバーもそれぞれ魅力的に役を演じたが、こういうことが出来たのは杏果だけだった。そういうことのできる女優はそんなに多くはない。だから、この映画を見て女優「有安杏果」の活躍に大きな期待をしていたのだ。
   
 上に引用した駅舎の場面はこの「幕が上がる」を象徴するような場面だが、ここには2人の才能豊かな若手女優の瞬間のキラメキを見てとることができるだろう。
 百田夏菜子有安杏果夏菜子がゆっくりとではあるが、朝ドラ、声優と女優への道を歩き始めているだけに杏果がそれをやめてしまったのは本当に惜しいと思う。
 杏果が今後どんな生き方を目指すにせよ、日本を代表する女優事務所を自らやめてしまったことで、女優という選択肢はきわめて厳しくなった。そのことが残念でならない。
   数年後、青年団が豊岡に移転して、東京ではあまり話題にならなくなってしまった後の欧州ツアーのキャストのなかに中西悦子という耳馴れぬ女優の名前があり、あれそんな子青年団にいたっけ、どこかで聞いた記憶があるんだけど、地元で採用した新人かな……なんていう妄想を抱いたりもするのだが、可能性は限りなく低いだろう(笑)。

 

 

 

 

 

 

革命アイドル暴走ちゃん TPAM 2018 in YOKOHAMA TPAMフリンジ参加作品「萌え萌え♥ハリケーン Totes Adorbs♥Hurricane」

** 革命アイドル暴走ちゃん TPAM 2018 in YOKOHAMA TPAMフリンジ参加作品「萌え萌え♥ハリケーン Totes Adorbs♥Hurricane」
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音楽・構成・演出 二階堂瞳子
Music, Concept and Direction Toco Nikaido

 

日本独自に生まれたヲタク文化をアートに転化した作品を創作する二階堂瞳子率いる革命アイドル暴走ちゃんは……

なんとっ!現代アートの祭典に続き、まさかまさかの国際映画祭にスペシャルプログラムとして登場∑(゚Д゚)!!びっくりっ

この映画祭は1972年に始まり、毎年12日間の会期中に 約600作品が上映され、来場者数が30万人を記録する、近年では世界三大映画祭につぐ、重要な映画祭のひとつに数えられており、並行してさまざまなプロジェクトが開催されています。

まさか国際映画祭に招へいされるなんて、本当に驚きですが、もはや暴走ちゃんは舞台芸術の域を越えていってしまったようです。

ロッテルダム国際映画祭の特別プログラム「the thematic programme」でおはぎライブを行う予定です!
からの2月!即凱旋!?横浜でのTPAM公演を合わせた日欧ツアー!

なお、今回は男女混合、バキバキ萌えっ萌え電波キャンキャンマンパワーでの全軍突撃日欧ツアー!

 

キャスト/Performer
出来本泰史 (革命アイドル暴走ちゃん)
宇賀神琴音 (革命アイドル暴走ちゃん
青根智紗
 江花明里 (劇団天丼)
治はじめ
窪田裕仁郎 (Voyantroupe/しもっかれ!)
鯉和鮎美 (FUKAIPRODUCE羽衣)
咲良 (-StoryDanceGroup- TAO )
菅木まほ (劇団こめの子)
立本夏山
 鄭佳奈
 土橋美月
 中井宏美
 那須野綾音
ぼたもち
松下豪
マロニー
峰ゆとり (劇団鹿殺し)
渡邊清楓

※オランダのみ
竹内純

※横浜のみ
犬吠埼にゃん (大江戸ワハハ本舗・娯楽座)
 岡村峰和
 加藤真悟
 川島優人
 芹澤采
ヒガシナオキ (gekidanU)

スタッフ/Staff
 <オランダ>
 照明 安藤達朗
 映像製作 宮本瑛未
 映像操作・カメラ 矢口龍汰
 演出助手 そめかあやや(革命アイドル暴走ちゃん)・小林ありさ
舞台監督・制作 樺澤良

<横浜>
 舞台監督 森下紀彦
 音響 安藤達朗
 照明 横原由祐
 映像製作 宮本瑛未
 写真撮影 Cyclone_A
演出助手 小林ありさ・佐賀モトキ (Straw&Berry)・吉田光
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  革命アイドル暴走ちゃんは日本の「オタク」カルチャーを象徴するアニメ主題歌(アニソン)、アイドル楽曲、ボカロ楽曲とノンストップのBGM風にかけながら、それに合わせて、歌、踊り、オタ芸などを同時多発的に展開していく。さらに言えばそうした要素に加えて、この舞台では一昨年流行した「恋ダンス」や「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌」の抜粋なども挿入され、ごった混ぜなカオス状況を演出していく。
 実は日本人のオタクであっても、そうであればこそアニメオタクはアイドルのことを知らないどころか、一般に強い反感を持っているなど好みの分断があるため、個々の楽曲のすべてに詳しい人は圧倒的少数派とも思われるが、そうしたことが全部は分からなくても、お祭り的に誰もが楽しめるのが革命アイドル暴走ちゃんのワンアンドオンリーの魅力である。
   舞台がカオス的に展開するということもあって、以前は歌っている歌の歌詞などがよく聞こえないことも多かったが、意図的な重ね合わせなどでかき消されるような部分の演出は依然あるものの、中心の歌唱メンバーの歌はちゃんと聞こえるように変化してきている。音楽レビューとしての完成度は高まっている。
 もっともカオス性が生み出す祝祭性の部分にパフォーマンスの魅力の核はあるだけにうまくなっては暴走ちゃんらしさが薄まってしまうという批判もファンの一部からは出てきそうで、そのあたりをどうバランスをとっていくのか二階堂瞳子が微妙なさじ加減をどうしていくかが、今後のこの集団の方向性を大きく変えてもいきそうで、この集団が今その分岐点にいることは確かかもしれない。 

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