ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2018 DIAMOND PHILHARMONY -The Real Deal-」(1日目)@埼玉県・さいたまスーパーアリーナ

** ももいろクローバーZ「ももいろクリスマス2018 DIAMOND PHILHARMONY -The Real Deal-」(1日目)@埼玉県・さいたまスーパーアリーナ
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DAY1 2018年12月24日(月・休)
open 15:45 / start 17:00 / (20:00終演予定)

OPENING映像
PRIDEのテーマ(生演奏)
猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
MOON PRIDE
ピンキー・ジョーンズ
ミライボウル
JUMP!!!!!
MC(自己紹介)
あんた飛ばしすぎ
DECORATION
天国のでたらめ
吼えろ
Z伝説 ~ファンファーレは止まらない~
DIAMOND PHILHARMONY演奏
サンタさん
Sweet Wanderers
MC(ももいろ歌合戦告知)
スターダストセレナーデ
クローバーとダイヤモンド
イマジネーション
MC(あーりんブランド&ポシュレ告知)
灰とダイヤモンド
きみゆき
空のカーテン
行くぜっ!! 怪盗少女 ZZver
MC
アンコール
Overture
SECRET LOVE STORY
笑ー笑
フィルハーモニー紹介
今宵、ライブの下で
白い風
ED映像
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ももクロのクリスマスライブがももいろクリスマス(ももクリと略)。ももクロの大規模ライブは季節ごとに毎年ほぼ同時期に開催され春が「春の一大事(春一と略)」、夏がスタジアムでの巨大野外ライブ*1、そして冬がこのももクリである。実はそれぞれ方向性も異なり、ももクリは今回のさいたまスーパーアリーナのように比較的音響環境のよい閉鎖空間での作りこんだライブとなることが多い。
 昨年は埼玉、大阪と1週間間隔でそれぞれ1日ずつという異例のスケジュールもあり、元カシオペアのドラマー、神保彰によるドラムとシンセドラムによりすべての楽器の音色をひとりで演奏するという「ワンマンオーケストラ」と宗本康兵率いるアコースティックカルテットが参加するという異例の構成だったが今年は「DIAMOND PHILHARMONY -The Real Deal-」の表題でも予想できたように大人数のストリングス隊を含む、総勢33人のオーケストラ編成による生演奏がももクロの音楽を支えることになった。
twitter.com
 OPENING映像が終わって、PRIDEのテーマが流れるのまではいつものももいろクリスマスなのだが、気がついて仰天し、大興奮したのは今年はオケが生演奏でテーマを演奏しているのが、分かったこと。暗闇の中からその全貌が姿を現すとそれだけで思わず「ついにここまで来たのか」と全身が沸騰し総毛立つ思いがした。ここからオーケストラバージョンのアレンジでももクロ初期の楽曲が次々と披露されるのだが、4人バージョンでの公開ということもあるけれども、歌割りやダンスのフォーメーションをただ単に変えたというだけではない。アレンジの変更に伴い歌い方なども細かいけれど最初の収録時とは若干異なる今現在の彼女たちの歌い方のニュアンスが付け加えられている。
 今回のライブが「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」からスタートするのは「DIAMOND PHILHARMONY -The Real Deal-」との副題と呼応したイメージを強く感じるからであるが、もうひとつは最初のさいたまスーパーアリーナでのライブ「ももいろクリスマス2011」の白眉が大貫浩史指揮による100人編成の合唱団「東響コーラス」、さらにスペシャルゲストのマーティ・フリードマン(G)を交えた壮大な「猛烈宇宙交響曲」のパフォーマンスであり、いまだにSSアリーナのももクリといえばそのイメージは強い。それだけに今回は総勢33人のオーケストラ編成による生演奏とその時とは比べ物にならないほど進歩した4人の歌唱でそれを凌駕することに挑戦したのではないだろうかと思わせるところがあった。交響楽にふさわしい壮大な曲想をパワーボーカルで支えた有安杏果のプレゼンスはこの曲の場合も大きかったが
こういう部分は例えばこの曲では高城れにが肩代わりして遜色のないレベルに仕立て上げてきた。
過去の名演とも比肩できる出来栄えだったのではないか。
 ここからは「MOON PRIDE」「ピンキー・ジョーンズ」「ミライボウル」と再構築した過去曲が並んだが、いずれもただ一生懸命に声を張り上げているだけではなく、ちゃんと言葉が観客席まで届く歌い方に変化したのがはっきり分かる。ももクロの場合は例えば2010年前後と現在とでは使いこなせる歌唱のテクニックがまるきり違っていても、実際のライブでの歌唱では初めてレコーディングした時の歌割りや演出に基づいてかなり厳密歌い方が決められている。そのため、最近の歌では現在の歌唱力が反映された曲想、歌い方になっているが、例えばクリスマスライブについていけば「サンタさん」がそうだが、当時にヒャダインがつけた演出をそのまま今も遂行している。特に夏菜子の歌い方などは意図的に子供っぽく歌わせるような演出がほどこされており、地上派のテレビでは冬の「サンタさん」、夏の「ココナツ」とヒャダインによるコミカル風味の強い楽曲が披露されることが多いこともあり、そのことが「ももクロは歌が下手」の一部の人の持つ世間的イメージを助長することになっているのは間違いないだろう。生演奏によるアレンジの変更で少しそうしたイメージを払拭したいとの意図が今回はあったのではないかとも思う。そももっとも典型的な形がオーケストラ演奏で歌った「行くぜっ!! 怪盗少女 ZZver」の冒頭部分で、少しテンポをゆったり目にして大人の風味を取り混ぜながら披露したそれは「ももクロの未来像」を感じさせるところもあった。
 ただ、なんといっても今回のライブの最大の魅力は「灰とダイヤモンド」「空のカーテン」「白い風」といった珠玉のバラード曲のリニューアルであろう。バラード曲は以前からももいろクリスマスの最大の売りのひとつではあったが、「灰とダイヤモンド」「白い風」などは有安杏果の圧倒的な歌唱力がその魅力を支えてきた感がかなりあった。春一で初披露された4人版「灰とダイヤモンド」では旧有安パートのハイトーン領域を佐々木彩夏が埋めるということになり、その頑張りには目を見張る思いがあったのだが、それでも「頑張り」というのは所詮「頑張り」でしかなく、杏果の元歌唱との間には正直言って埋めることのできない大きな差を感じたのも確かなのであった。とはいえ、「ローマは1日にしてならず」。杏果にしたところで実は冷静に思い起こしてみせばこうしたハイトーン部分の歌唱は容易に達成できていたわけではない。下手をするとその一発でかかる音圧ののどへの負担で、声帯を痛めてしまいかねないところを試行錯誤の挙句なんとか一定以上の到達点を見せたのが昨年ももクリでの有安杏果だった。
 今回の「灰とダイヤモンド」でのあーりんはその意味でいえば杏果とまったく異なる経路であーりん独自のハイトーン発声を見せて、過去の最高傑作とも言われた昨年のももクリでの5人版「灰とダイヤモンド」に並びかけてみせた。歌唱の細かい技術的な側面ではまだ至らないところもあるけれど、常々ももクロのボイストレーナーである美音が何度も指摘していたことではあるが、あーりんには潜在的に出すことが可能な音域の広さとその声量の大きさにおいて大きなポテンシャルがある。これまではそれがうまくコントロールできなかったり、中途半端なところで抜けてしまったりしたことが多かったが、今回はそうしたタスクを相当以上にうまくこなしてみせることができた。そして、これがうまく制御できるようになればロック系の楽曲のハイトーンボイスなどにも応用は広がるはずで、今後が楽しみで仕方がない。
 さらにいえば、この歌は元々、ももクロのテーマ曲的な色彩が強かったが、歌詞の意味合いをもう一度反芻してみたところ残された現在の4人(チーム・ダイヤモンド・フォー=TDF)のことを歌ったテーマ曲としか思えないほど、現在の状況と響きあうものを感じさせた。

*1:「夏のバカ騒ぎ」「桃神祭」など毎年コンセプトにより名前が変わる

アメフラっシデビュー 3B junior 「Cell Division〜細胞分裂〜」@恵比寿ザ・ガーデンホー​ル

3B junior 「Cell Division〜細胞分裂〜」@恵比寿ザ・ガーデンホー​ル



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【日時】2018年11月3日(​土・祝) open 16:20 / start 17:00
※当日公演前に3B juniorの特典会を予定して​おります。
【会場】恵比寿ザ・ガーデンホー​ル
【出演者】3B junior
【友情出演】ロッカジャポニカ/​はちみつロケット
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 3bjuniorももクロのプロデューサー、川上アキラ直轄の後輩アイドルグループ。私はファンと言えるほどには詳しくないので、ファンがどう思っているのかはよく分からないのだが、ここはスタダの他のグループと違って明らかに育成グループで、ユニットがすでに2グループ独立してメジャーデビューしていたわけだが、3bがそうなることは可能性は低かった。4年での解散はある意味既定の路線だったのではないかと思う。
 残念なのはここがなくなってしまうことでけっこう持ち曲にいい曲が多かったのにそれが歌われなくなくなってしまうこと。もちろん、スタダなので欲しいグループがそれぞれ欲しい曲をドラフトで使命して分配するようなイベントをやったら盛り上がるかなと思ったが、冷静に考えるとファン感情から考えるとそんな不謹慎なのはダメに決まっている。
 3Bで一番気になっていたのは愛来の処遇。この日見た3Bjuniorの最後のライブでも何曲も彼女がセンターに陣取る演目を見たのだが、歌唱力が格段に向上しており、この集団のセンターにして絶対エースの存在感を見せつけた。それはまさに夏菜子の後継に相応しいと思わせた。
 

 その意味ではこの日のライブの最後に披露された新グループ、アメフラっシは次世代エース、愛来をセンターにももクロにおけるかつての杏果のように歌唱力でグループを引っ張るもえかの2トップが柱だが、パフォーマンスを見る限りその他の3人もレベルが高い。動画などを見て冷静に判断するとまだまだな部分もあるのだが、登場の仕方には勢いもあり、まさに育成グループから選ばれた5人によるスーパーグループと思った。

黒フェス2018~白黒歌合戦~@豊洲PIT

黒フェス2018~白黒歌合戦~@豊洲PIT

 

2018年9月6日(木)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
<出演者>
松崎しげる / ももいろクローバーZ / 杏里 / 打首獄門同好会 / 天童よしみ / BiSH / CHAGE /and more

  黒フェスは「黒(96)」がトレードマークの松崎しげるにより毎年9月6日に開催されているフェスで今回が4回目となる。ももクロはこれまでも氣志團万博氣志團)、若大将フェス(加山雄三)、高校生ボランティア・アワードチャリティコンサート(さだまさし)、VAMPS主宰「HALLOWEEN PARTY」など*1、と日頃お世話になった人たちの主催フェスには恒例事業として積極的に参加してきた。この黒フェスもそのひとつとなっている。
  実はももクロもフェスの代わりに年越しカウントダウンライブを「ももいろ歌合戦」として開催しており、第1回となった昨年は氣志團加山雄三さだまさしが参加してくれたのだが、今年は松崎しげるも参加することをすでに明らかにしており、こうした相互の深い交流によるネットワーク作りがももクロの活動のひとつの特徴となっている。
   今回の黒フェスでのセットリストは以下の通り。

 

黒フェス2018 ももクロセットリスト
overture
クローバーとダイヤモンド
MC
CONTRADICTION
DECORATION
サラバ、愛しき悲しみたちよ


  アウエー仕様のロッキンとも、フェスの主への挨拶代わりの印象も強く毎年カバー曲を披露している氣志團万博イナズマロックフェスとも異なる。通好みかつ最新アップデートされた楽曲で攻めてきたのが今回のセットリストだろうか。黒フェスは野外フェスとは違い豊洲PITというライブハウスが会場。前方がオールスタンディングということもあり、ダンスも激しく観客も一緒に盛り上がれる曲で構成し、同じアイドルで初の本格的な競演となったBiSHにも目の前でスタジアム公演もこなすももクロパフォーマーとしての存在感を見せ付けるようなライブであった。
  黒フェスの方も似たような形で松崎しげるの個人的なコネクションで新旧さまざまなジャンルのアーティストが集められているが、何と言っても大物アーティストのここでないと聞けないようなライブパフォーマンスが見られるのが魅力なのだ。
 今回まず驚かされたのは天童よしみで演歌歌手の大御所というイメージしかなかったのが、最近演歌にこだわらない曲目を選んだカバーアルバムを出したということもあって、バンドを引き連れて登場、「タイガー & ドラゴン」ややしきたかじんの「やっぱ好きやねん」を圧倒的な声量で歌い上げたことだ。「タイガー & ドラゴン」といえば和田アキ子が杏果と一緒にコラボしたのをどうしても思い出してしまう。杏果が天童よしみと個人的に仲がよかったのも周知の事実なのでどうしても卒業前にコラボが見たかったなあとも思ってしまったのだが、まあ許してほしい。杏果のことは別にして天童よしみにもももいろ歌合戦に来てもらいたいなあと思ったが、よく考えたら天童よしみは昨年も紅白歌合戦に出場していて、現在22回出演中。まあ、無理か。バンド生演奏をバックにしての「大ちゃん数え唄(いなかっぺ大将) 」も大迫力だった。
 杏里が出てきて「キャッツアイ」と「オリビアを聴きながら」の2曲だけを歌ったのにも驚かされた。平日夜なのに出演者が多くて豪華という黒フェスならではの贅沢さだ。
  打首獄門同好会も面白かった。 こういうのはモノノフは好きなんじゃないだろうか。実はロッキンで家入レオに向かう途中でLAKE STAGEでやっているのを横目で見ながら素通りしてきたのだが、見たほうがよかったかもなあ。
 新曲「はたらきたくない」が披露されたがこれは「労働讃歌」へのアンサーソングじゃないかと思ってしまったのは私だけだろうか。

 今回、一番期待していたのはBiSHだった。清掃員(BiSHのファン)というほどではないが、今後アイドルのトップ集団に加わりそうなグループとして以前から注目していてライブにも何度か行った*2ことがあったからだ。実力はもっとあるはずだが、ベテランの大御所なども出演する黒フェスはBiSHがこれまで経験してきた現場と雰囲気が全然違うために気後れしてしまったということもあるのだろうか。こういう現場ではいつもやっていることであってもやっていいこととそうでないことがあるはずだが、その線引きをどこに引くのかにとまどって不完全燃焼に終わってしまったかもしれない。最後に用意した「BiSH-星が瞬く夜に-」はこの集団の一番の切り札であり、盛り上がって終わることはできたけれど、終演後何人かがももクロのパフォーマンスに釘づけになったと書いていたのはこの日の自分たちのパフォーマンスに全面的には満足していなかったという悔しさもあったのではないか。当然、そうした書き込みに対してBiSHのファンは「そんなことはない。あなたたちのパフォーマンスは素晴らしかった」と応じていたが、むしろ、悔しさこそ次のパフォーマンスがより向上していくことへのバネになっていくのではないかと思う。
 個人としての技術なら歌はももクロよりもアイナ・ジ・エンドの方がうまいと思うのだが、やはり全体的なステージングでは差があると感じた。ただ、それが何なのかがよく分らない。BiSHのファンはももクロファンのたわごとだと思うかもしれない。しかし、おそらく、このどれもが単独のライブを見たら素晴らしいと思うだろうあゆくまやチームしゃちほこもそうだと感じたし、日比谷野音で見たたこやきレインボーのパフォーマンスも素晴らしかったが、ももクロとは何か決定的な差があると感じてしまった。
 ただ、そういう意味でいえばこの見たパフォーマンスでももクロなんかともまるでレベルが違う「本物は凄い」感を醸し出したのはCHAGE &MATSU(松崎しげる)の「YAH YAH YAH」 だった。
<iframe src="//www.youtube.com/embed/LPc69k7eoOk" allowfullscreen="" frameborder="0" height="315" width="560"></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=LPc69k7eoOk">CHAGE&amp;ASKA - YAH YAH YAH 16:9高音質</a>
 ももクロを含めてもこの日一番盛り上がったのはこの曲だった。それにしても松崎しげるおそるべしというのはただでさえキーが高く原キーで歌うのが簡単ではないはずのこの曲を原曲より1音上げでカバーしており、そのため本家であるはずのCHAGEがそれに合わせてそのキーで歌わざるをえなかったということ(笑)。そんなことがありうるのか。いや、あるとしたらここでだけだろう。
 オーラスはもちろん松崎しげる。フルコーラス、生演奏で聴く「愛のメモリー」はやはり素晴らしかったが、思わずまた笑ってしまったのは最後の新曲でのももクロとのコラボ。曲の途中でももクロがコーラスにはいってきて一緒に歌ったのだが、昨年同様に松崎しげるの声が大きすぎて、ももクロの声はいっさい聞こえなかった(笑)。

*1:イナズマロックフェス(T・M・レボリューション)にも参加していたが、昨年台風のためにももクロが参加するはずだった予定日が中止に今年はミュージカルの日程の関係で不参加となった。

*2:simokitazawa.hatenablog.com

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』参戦記 ももクロライブレポート


ももクロ ロッキン ZIP スッキリ 2018.08.13

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』参戦記 ももクロライブレポート

 

 

 



セットリスト:ももいろクローバーZ
1、BLAST!
2、Chai Maxx
3、ココ☆ナツ
MC2、Chai Maxx
3、ココ☆ナツ
4、Re:Story
5、走れ!
7、Z伝説 ファンファーレは終わらない
8、行くぜっ! 怪盗少女
9、クローバーとダイヤモンド

本日のDMB
  #ダウンタウンももクロバンド
#宗本康兵 Key
 #浅倉大介 Key
 #柏倉隆史 Dr
 #浜崎賢太 EB
 #大渡亮 EG
 #佐藤大剛 EG AG
 #大郷良知 Sax
 #小澤篤士 Tp
 #半田信英 Tb


 ROCK IN JAPAN FESTIVAL参戦は昨年に続き2回目。昨年は知人の好意で車に同乗させてもらったのだが、今年は勝田駅経由のJRとシャトルバスを乗り継いでのひとりでの参加となった。目的はももクロのライブだが、その前にゴールデンボンバー(金爆)を見たいなとも思っていた。
 だが、シャトルバス乗り込みにけっこう時間がかかったせいで会場に着いてみるとちょうど目の前のLAKE STAGEで金爆と時間が重なっているでんぱ組がやっていて、それを2~3曲聴いているうちに時間がたってしまった。金爆とももクロのライブ会場は入り口から離れた場所にあるGRASSSTAGEだということもあり、そこに着いてみると金爆はとっくに終了し、ダウンタウンももクロバンド(DMB)の音声チェックを兼ねたリハーサルがはじまっていた。
  DMBの存在はこうしたロックフェスでは本当に大きい。ロック通が多いロッキンの客層にはモノノフ以上にインパクトがあったようだ。特に今回は前週に千葉幕張のZOZOマリンスタジアムであったワンマンライブ「ももクロマニア」に参加したバンドメンバーが数人を除いてほぼそのまま参加していた。そこには宗本康兵、浜崎賢太、佐藤大剛のおなじみのメンバーに加えて浅倉大介access)、大渡亮元(Do As Infinity)、柏倉隆史も名を連ねており、特に浅倉の参加はももクロマニアでもかなりの反響だったが、ここロッキンではそれどころではなく、「何で?」「分かっていたらそちらの会場に行っていたのに」などと相当以上の以上の衝撃を与えていたようだ。
  昨年のロッキンは初めてダウンタウンももクロバンドを帯同してフェスに乗り込んだこともあってももクロとしてそれまでの中で最高到達点といっても過言ではない出来栄えで、5人のももクロはロックファンに対しても大きなインパクトを与えたが、特に素晴らしかったのが有安杏果のボーカルから始まる「BLAST!」だった。果たして4人のももクロのパフォーマンスがそれに並ぶような結果を残すことができるのかという危惧は始まる前には若干あったものの夏菜子のパワフルなボーカルからその「BLAST!」がスタートするとそんな杞憂は一度で吹っ飛んだ。夏Sでもももクロマニアでも感じたことだが、4人とか5人とかを感じさせないような厚みのあるボーカル、それが4人そろってユニゾンとなるといまだかつてないような無敵感が醸し出される。ももクロについてはいまだに「歌が下手」などとくさす人が後を絶たないのだが、この日でんぱ組、あゆみくりかまき、チームしゃちほこといくつかのアイドルグループを続けて見てはっきり分かったことがある。それは小手先の歌の技術などではなく、ボーカルがその歌の世界で客席を支配する力において、ももクロと他のグループには比較にならないほどの差があるということだ。そういうとファンの欲目みたいにみられるかもしらないが、将来はともかく現時点の力量において先に挙げたグループは埋められるかどうかというような人気の差を度外視しても観客を巻き込んでいく空間把握力に明らかに差はあった。そして、それはスタジアム級の単独ライブを何度も経験してきたからこそつかんできた力なんだろうと思う。
 今年のももクロは「BLAST!」で観客を圧倒した後も、野外ライブで盛り上がる「Chai Maxx」「ココ☆ナツ」とアゲ曲を連発。特にヒャダインの「ココ☆ナツ」は初めて聴く人でもすぐに覚えてしまうような「ココココココココ」の連続をはじめ振付もインパクト抜群でこういう夏のアウエーでは抜群の威力を発揮するキラーコンテンツでこの日も会場の後ろの方まで一体となっての大盛り上がりを見せた。
 ただ、この日の暑さではこれ以上激しい曲が続くと熱中症で倒れていたかもしれず新曲の「Re:Story」はそういう意味でもいい挟み込みのされ方だった。その後は「走れ!」「行くぜっ! 怪盗少女」とももクロといえばという有名曲2曲によって初めてももクロを見た客たちも満足させ、5人になりZになって最初の自己紹介曲を4人バージョンに改作した「Z伝説 ファンファーレは終わらない」を歌い4人のももクロの新たなる門出をアピールした。
 最後にはももクロ結成10周年を記念して発表された「クローバーとダイヤモンド」を歌い上げ、余裕を残してその存在感をまざまざと示した。先述したがこのライブを見るともはや国内にももクロにとってアウエーのライブ環境というのはないのではないかと思われてきた。このロッキンも昨年初めて参加した時は「ももクロってどうなの?」と懐疑的な観客もけっして少なくなかった。しかし、今回のライブを見ているとこのロッキンももはやホームに近いような感覚を演出しつつある。それは昨年の評判でモノノフが増えたからというようなことではなく、会場に分散しているモノノフの力を借りながらもファン以外の観客を引き付けて味方にしてしまうような魅力があって、そこが他のグループとももクロが決定的に違うところだと思えた。
 それを象徴するのが間違いなくアドリブだと思うのだが、夏菜子か誰かが「ももクロのファンじゃなくて、興味もない人」と会場に呼びかけてある程度の数の観客が「そうだ」とウオーという声を上げたのに対して、高城れにが「そういう人もももクロを好きになってください」と突然卑屈に土下座をするような仕草を見せると一度は他のメンバーが「そんなみっともないことをするな。10年続けてきたプライドはないのか」のように止めに入るが、それを今度は夏菜子が再び止めて、今度は全員で「ももクロのことを好きになってください」と深くお辞儀する。ここまでの一連の流れるような進行こそ歌とダンス以上に「これがももクロだ」と思わせるもので、会場にはそれで興味を持った人も少なからずいたのではないかと思う。
 さらに言えば左側、右側、遠くの方などと煽りを入れるのはこうしたライブの定番となっているが、それに加えて遠くに見える観覧車に向かって「観覧車のみなさん」などと声掛けをしたのも笑わせてもらった。確かにGRASSSTAGEについては観覧車から撮影したと思われる観客の集まり方の写真がよくネットなどにも上げられているから、風向き次第では音も聴こえるのかもしれないが、観覧車に向かって声掛けしたのはロッキンの歴史上でもももクロが初めてじゃないだろうか(笑)。


セットリスト:あゆみくりかまき
1.ジェットクマスター
2.鮭鮭鮭
3.アイノウタ
4.KILLLA TUNE
5.心友フォーエヴァ
6.HAVE A NICE DAY,世界

 ももクロを見終わると次はGRASSSTAGEで予定されていたのはmiwaだったのだが、お腹も減ってこのままだと熱中症で倒れそうなこともあり、フードエリアで休憩、食事、飲み物をとり、次に見たのが近場のBUZZSTAGEのあゆみくりかまきだった。実はこのあゆみくりかまきとこの日の最後に見たチームしゃちほこはどちらも今回がロッキンに5回目(5年目)の出演。とはいえこのBUZZSTAGEではライブとライブの間に時折DJタイムが挟み込まれるため、あゆくまが最初に出演したのはこの同じ会場でもくりかまき時代のDJとしての出演だった。それがボーカルのあゆみが加わりあゆみくりかまきとなり、今回は初めて主催者側がセッティングした(?)と思われるバンドを帯同しての登場となった。
 それは彼女たちにとって相当に嬉しいことだったようで、いつもノリのよい彼女らのライブだがこの日は特にノリノリのステージだった。私はももクロファンだが、アイドルファンとは言えない。あゆくまも単独ライブに行ったことはないが、ももクロがライブ前に本会場の周辺に設営した会場で開催しているミニアイドルフェスの常連となっていて、特に野外ライブでの客の乗せ方(ステージング)のうまさにはいつも感心させられている。
 それゆえ、この日も観客の盛り上がりは十分でその中に自分も入っているともの凄く楽しいものではあったが、楽しんでいるオタクとそれ以外の観客の熱量の差は歴然としていて、外への広がりはあまり見られなかった。  
 ももクロのライブの後に見たせいもあるが、まず思ったのは3人で歌っていて、それぞれが交互にソロをとるスタイルなのだが、中にいると臨場感で楽しめても歌自体は歌詞があまり分からない。ももクロはある程度歌詞を知っているし映像と一緒に歌詞も流されるからということもあるがそれだけではない気がする。
 夏Sでももクロの後輩グループを見た時にも同じようなことを感じたが若いグループほど歌詞をシャウトしすぎたりしていて聞き取れないのだ。
 もちろん、あゆくまはそういう若いグループとは比べられないぐらい高い技術を持っているし、いわゆる歌唱力ということでいえばももクロよりも上だという見方をする人がいてもおかしくない。      
 GRASSSTAGEとBUZZSTAGEでは音圧や客の集まり具合も違うのだが、アイドルファン以外の観客への届き方は実力派のあゆくまでさえ、ももクロとは全然違っていて、両者の間に集客力だけではない差というものを感じてしまった。

 


セットリスト:チームしゃちほこ
SOUND OF FOREST

 1 Song 2(Blur cover)
 2. 雨天決行
 3.抱きしめてアンセム
 4.いいくらし
 5.BURNING FESTIVAL
 6.ザ・スターダストボウリング
 7.ULTRA 超 MIRACLE SUPER VERY POWER BALL
 8. START


 チームしゃちほこも5年連続の参加。毎年少しずつ主催側の評価を高めて今年はついにSOUND OF FORESTのトリを射止めた。ももクロあるいは欅坂もそうだが、ロッキン初出場にしていきなり最大のGRASSSTAGEというのは特例中の特例なのかもしれない。毎年出演し実績を積み重ねながらステップアップしていくのが普通なのだ。
 チームしゃちほこもそうした道を通ってここまで来たが、MCなどでそのことに触れることも一度もなかったが卒業を秋に控える伊藤千由李が今年で最後のロッキンということもあり、より一層熱の入ったものとなった。
 こちらも緩急などというものはいっさいなく最後まで攻めの姿勢を見せたライブパフォーマンスでしゃちらしさを出した。といえばそうなのだが、ももクロとの埋めがたい差を感じた。加えてここで1人欠けることはももクロ以上にきついかもなあと感じてしまったのも確かだ。
 救いは最後の最後にアンコールの声に催促されて再びメンバーが登場した際に咲良奈緒が「ロッキンではアンコールで出てきて歌うのが許されて歌えるのはGRASSSTAGEのトリだけというのが決まっている」と説明した後、私たちもGRASSSTAGEに行きたいし、いつかそこでトリを務めてアンコールにもこたえたい」とファンに向けての挨拶で闘志を見せたのにはちょっとやられた。やはり相当危機感を感じているに違いない。それでも夢を諦めたくないという強い意志を感じさせてくれたことにぐっと来るものがあった。しゃちほこのステージは笠寺・ガイシホールで一段落した感もあり、しばらく行ってなかったが、名古屋まで遠征はできなくてもチャンスがあればまた見に行こうという気にさせられたパフォーマンスだった。

MomocloMania2018 –Road to 2020-DAY1@千葉県・ZOZOマリンスタジアム

 MomocloMania2018 –Road to 2020-DAY1@千葉県・ZOZOマリンスタジアム

 

 


<DAY1>2018年8月4日(土)
<DAY2>2018年8月5日(日)
両日共通:open 14:30 / start 17:00 / (20:30終演予定)
※雨天決行・荒天中止
※当日の公演内容によって終演時間が前後する場合がございます。

 

 ももクロ恒例の夏ライブ。今年は昨年に引き続き「Road to 2020」と2020年に開催される東京五輪に向けてアイドルとスポーツの融合がテーマとなった。
 昨年は五輪におけるメジャー種目である陸上競技が中心的モチーフであったのに対して、今年はハーフマラソンは実施されたもののメインはスケートボード、BMXなど新たに五輪種目に追加された新種目の紹介をしようというのがひとつのテーマ。新種目の中では比較的メジャーなスケートボードはともかくとしてBMXのパークなどは私も初めて競技者のテクニックを目の当たりにしたがちょうどスキーのエアリアルモーグルのようにアクロバティックなところもあり、冬季五輪でスノーボード平野歩夢が脚光を浴びたようにもしメダリストでも出れば人気が出るのではないか。
 ウィルチェアー(車いすラグビーも紹介されたのだが、ライブからそれほどたってない日に世界選手権で優勝した。初優勝の快挙だが、五輪金メダル候補といってたのを「どうせまた」と聞いていたのごめんなさい。けっして誇張ではなかったんですね。
 ライブのセットリストは下記のようだが、「ワニとシャンプー」「ココナツ」などの夏ライブ定番曲に加えて、4人verがまだ発表されていなかった「愛を継ぐもの」「ROCK THE BOAT」「デモンストレーション」など比較的新しめの楽曲が目立った。
 特に「ROCK THE BOAT」 を椅子を使ったショウ成分多めの大人の振付で披露したこともあり、今ライブの白眉といってもよかったかもしれない。この曲は「揺らしちゃう」というセリフ部分を担当していることでもともと玉井詩織の曲という印象は
強かったが今回のセンターポジションで椅子に座って始まる冒頭からして代表的な「詩織曲」となったといってもいいだろう。
 もうひとつがニューヨークヤンキースの田中将投手の登場曲として制作された楽曲群で昨年惜しくもワールドシリーズ出場がならなかったまーくんの心情をファンキー加藤が盛り込んだ最新曲の「吼えろ」をはじめ泣ける歌は数多いのだが、ハーフマラソンのスタート直後に歌い始めた「Get Z Go!!!!」などランナーへの応援歌に聞こえた*1
<blockquote class="twitter-tweet" data-lang="ja"><p lang="ja" dir="ltr">08/04 ももいろクローバーZ/MomocloMania 2018 一日目@千葉ZOZOマリンスタジアム セトリ <a href="https://twitter.com/hashtag/momoclo?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#momoclo</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%82%82%E3%82%82%E3%82%AF%E3%83%AD?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#ももクロ</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/TDF?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#TDF</a><br>ももクロ夏の特盛大箱ライブ、超楽しい! 新曲Re:Story(5日0時配信)初披露ほかいろいろあったけど、やはり最後の挨拶での夏菜子「トイレ行きたい」発言だわ。どんだけ超大物なのw <a href="https://t.co/BQ0MTDJ46p">pic.twitter.com/BQ0MTDJ46p</a></p>&mdash; みょうが (@myogamaru) <a href="https://twitter.com/myogamaru/status/1025710326774292480?ref_src=twsrc%5Etfw">2018年8月4日</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>
  セットリストを確認して書き写そうと思ったのだが、twitterに載せていた人がいたので、転載することにした(転載まずいということであれば連絡してください)。

*1:これで思い出したのだが、大阪国際女子マラソンの最後の勝負どころで流れるテーマ曲を30年近く毎年アルフィーが提供していたのが今年1月が最後になった。この後釜もし決まってなかったらももクロにもらえないかしら