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 90年代の現代演劇を展望する(試論)

 日本の現代演劇の特質の一つはその様式における多様性である。その様式は必ずしも、完成されたものではないものが多い、としても、演劇を可能性の中心において、考える時様式の多様性は将来における豊穰への足掛りとなるものだと、考えるからである。
 議論を進めるため、ここでは現代日本演劇の系譜を語る時に欠かせない二つの流れを取り上げながら、日本の現代演劇の全体像を展望してみたい。二つの流れとは一つが、主として身体的な表出を演劇表現の中心に置いている流れで、これをとりあえず『身体性の演劇』と名付けたい。この流れは日本演劇にいては、60年代に始まったいわゆるアングラ劇の一部の流れを引く系譜であるが、現在においては単に唐十郎鈴木忠志といった、いわゆる小劇場第1世代の直接的な影響を受けた作家群だけにとどまらずに、ピナ・バウシュのタンツテアトルなど演劇周辺的な表現をも射程にいれながら、より広い広がりを見せるにいたっている。
 それに対して、もう一つの流れが、演劇において関係性、あるいはある種の構造を舞台において提示することを目的とした表現。これは『関係性の演劇』と名付けることにする。これは最近、よく使われる表現としてのいわゆる『静かな劇』のかなりの部分を含み、やはり、60年代の別役実の作品から始まり、岩松了平田オリザといった作家群を含むが見かけの静かさとは関係のないところで、一つの系譜をなしている。
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 身体性の演劇は一言でいえば、人間の身体の非言語的な表出を演劇の本来の表現すべきフィールドと規定するところにその特徴がある。これには、さらに細分化して考えるならば、いわゆる60年代の第1世代のアングラ劇の直接的な影響を受けた集団と、それとはスタイルに置いて一線を画す形で、新たな様式を模索している集団に大別される。
 具体的にいうと前者が南河内万歳一座新宿梁山泊に代表される唐十郎状況劇場の影響を強く受けたと想定される劇団。後者が宮城聡の率いるク・ナウカや林巻子の主宰するロマンチカなどである。
 その中でももっとも注目すべき舞台成果をあげているのがク・ナウカであろう。ク・ナウカの方法論について、簡単に説明すると、ここでは身振りを担当する俳優(ムーバー)と語りを担当する俳優(スピーカー)が分けられていて、一つの役柄を二人の俳優が二人一役で演じる。