ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

ジョディ・メルニック

|日時| 2010年 9月19日(日) 17:00開演  ※受付、開場は開演の30分前
|料金| 前売・当日とも1,800円 
|定員| 先着順90名 (定員になり次第締切り。事前予約をお勧めします。)
|会場| アートエリアB1 (京阪電鉄中之島線「なにわ橋」駅コンコース内)
|振付| ジョディ・メルニック
|出演| 伊藤愛(アンサンブル・ゾネ) 黒子沙菜恵 京極朋彦

 
 米国の振付家・ダンサーであるジョディ・メルニック振付による小品2本をアートエリアB1 (京阪電鉄中之島線「なにわ橋」駅コンコース内)で観劇した。これは年ごとに異なる海外のアーティストが約2週間、大阪に滞在しながら、関西のアーティストたちと共に作品制作を行う「大阪滞在制作シリーズ」の一環として行われた公演で、今回が2回目である。
 昨年のアルカディ・ザイデス(イスラエル)に引き続き、今回は米国ニューヨークを拠点に活動するジョディ・メルニックが招へいされ関西の3人のダンサーとソロ・デュオの作品を創作した。 
 最初に上演されたのは伊藤愛(アンサンブル・ゾネ)による新作ソロ作品である。この日はアートエリアB1は奥の方に客席と舞台空間が設営されていたが、このソロ作品は2つの部分に分かれていて、最初の部分は舞台空間の方ではなく、入り口から少し入ったところの回廊状の空間で踊られ、グラウンドポジションの多い最初の部分のダンスを立ったまま取り囲むようにして見ることになった。少し踊った後でダンサー、観客がともに奥の舞台空間に移動してそこで後半の部分が踊られた。
 伊藤愛はアンサンブル・ゾネの中心ダンサーで最近は時折、自らの振付によるソロ作品や即興も踊ることがある。しかし、この日見たムーブメントは基本的にはミニマルでシンプルな動きの連鎖でありながら、なめらかかつ柔らかなでたえまなく動き続けるような踊りで過去に見た伊藤のダンスとは明らかに違う印象を受けた。日本のコンテンポラリーダンサーはソロないしデュオの単位で本人が振付も担当するというタイプのものが多く、あるいはこの伊藤愛のようにカンパニーに所属して1人の振付家(伊藤の場合は岡登志子)の振付を踊るということが多く、そのため今回のように他人の振付をある程度以上のキャリアがある実力派のダンサーが踊るということはバレエ系のダンサーなどを除く限られるので、今回のように魅力あるダンサーがいつもと違う振付家の作品を踊るということはあまりなく、その意味ではダンサーにとっても観客にとっても貴重な機会だったと思う。
 一方、黒子沙菜恵、京極朋彦によるデュオ「Fanfare」は彼女自身により2009年にニューヨークのザ・キッチンで初演され、高い評価を受けた作品の再演である。初演版ではジョディ自身が踊った作品だが、今回はそれを黒子沙菜恵が踊った。伊藤愛の踊ったソロ作品は動きにニュアンスがあってシンプルななかにも美しさが感じられたのだが、こちらの方はほぼ同じ単調な動きが厳密に規定された設計図のような指示に従って、複数回繰り返されるなどソロ以上にミニマルな作品。実際の「Fanfare」初演では表題の通りに巨大な扇風機のオブジェがあったり、映像が投影されたりして目先を変えたりしているのだが、今回の上演ではそれもないので正直言って集中力を持続して集中しにくいだった。アフタートークで分かったのだが、途中で音源として流れていてミニマルなノイズ音楽だと思っていた音は実はその美術として使った扇風機の音だったらしく、会場の都合上今回は照明などもなかったこともあり、もう少し完全な形で元の作品を見たかったと逆に思ってしまった。
 こういう交流は参加した日本のダンサーにとっても貴重な機会ではあるが、それだけに一過性のものに終わらせないためには1年に1人一度だけではなく、継続した形での交流が必要ではないかと思った。
 
 そして、今回のジョディのパートナーとして、下記のとおり、ダンサーが決定しました。
ソロ『(新作)』出演:黒子沙菜恵 京極朋彦
2009年)出演:黒子沙菜恵 京極朋彦

ダンサーとしての強度や柔軟性を要する彼女の静謐で洗練された作品が、関西のダンサー達と協働することで、どのように変容し生み出されていくのかにご注目下さい。
振付 ジョディ・メルニック

出演 伊藤愛(アンサンブル・ゾネ)、黒子沙菜恵、京極朋彦

ジョディ・メルニック(アメリカ)
ジョディ・メルニックは、アメリカのダンス界を代表するトワイラ・サープらの作品に出演している。また15年以上にわたって、フリーランスのダンサーとして、中馬芳子やテラ・オコナーなどの作品にも出演している。2002年には、トリシャ・ブラウンの演出助手をつとめ、数々の舞台に関わる。またゲストダンサーとしても出演している。彼女の振付作品は、ニューヨークを拠点に、日本、アイルランドエストニア、スイスそしてロシアなどで上演されている。ダンスの講師としても定評があり、マスター・クラス、テクニック・クラスやワークショップを、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ロシアそしてアジアの各地で行っている。
伊藤愛
幼少より、モダンダンス・バレエを学ぶ。1996年よりEnsemble Sonneの活動に参加。2005年11月NPO法人Dance Box主催one-Danceに選出。ソロ作品を創作発表。
http://www.eonet.ne.jp/~ensemblesonne/
黒子沙菜恵
ダンサー。NYでさまざまなダンスに出会いその後身体の構造に着目しリリーステクニックを学ぶ。そして骸骨の模型を眺める日々。ソロ活動をベースに色々なジャンルの作家との共同作業を行なう。場を問わず今生きている身体を感じ、その時々の出会いによって揺れる身体と心をカラダ1個で受け止める。
http://blogs.yahoo.co.jp/sanaekuro512
京極朋彦
役者、振付家、ダンサー。2007年に京都造形芸術大学 映像・舞台芸術学科卒業。シャープな身体性とバネのようなリズム感、ひとの2.5倍の汗を武器に、京都を中心に劇場、ライブハウス、クラブイベント等で活動中。2006年、卒業制作として上演したソロダンス『鈍突』が学科最優秀賞、および学長賞を受賞。
http://kyo59solo.blogspot.com/ 

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現代芸術創造支援事業とは? 新しい芸術文化の創造を担う芸術家等の発掘・育成・支援、ならびに市民への現代芸術の普及を図るため、芸術家等の制作・交流・発表の機会の提供や、市民が現代芸術に触れる機会や芸術家等と交流する機会の提供を行うことを目的とするものです。

【ブリッジシアター】とは? 「興味はあるがどんなダンスを見ていいのかわからない」「コンテンポラリーダンスってナニ?」など、初めて見る方にもわかりやすくダンスや舞台芸術に接していただけるよう、作品発表だけで無く様々な角度からダンスパフォーマンスを紹介します。また、劇場とは異なる「 アートエリアB1 」の開かれた空間や、鉄道駅という場所の特性を生かした内容で、劇場によく足を運ばれる方も楽しんでいただけるプログラムです。

タイトル ダンスパフォーマンス&展示プログラム 【ブリッジシアター】
現代芸術創造支援事業
大阪滞在制作シリーズbyジョディ・メルニック(NY)