ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

「OSAKA ART KALEIDSCOPE -OSAKA 04- 」

 「OSAKA ART KALEIDSCOPE -OSAKA 04- 」*1を海岸通りギャラリー・CASO で見る。

 参加アーティスト 荒木経惟稲垣智子、押江千衣子、金田実生、古巻和芳、田嶋悦子銅金裕司名和晃平、村山留里子、ロバート・クシュナー、ルドゥーテ、崔辰旭

 
 「OSAKA ART KALEIDSCOPE -OSAKA 04- 」は大阪府立現代美術センターと海岸通りギャラリー・CASO の2カ所で開催されている美術展。この日は展示の最終日だったが、なんとか大阪港まで出かけて展示を見ることができた。海岸通りギャラリー・CASOでの展示は太字の7作家である。
 この中では名和晃平と稲垣智子の2つのインスタレーションが印象に残った。

稲垣 智子 INAGAKI Tomoko

「春」 石鹸、造花、映像 インスタレーション 2004
 協賛:エプソン販売〓、牛乳石鹸共進社

春。華やかなこと。短いものの中にある永さ。花。清浄による再生。喜び。全体性。融合。快楽。
この作品は生命の賛歌的なところがあります。ものを見せることで生あるものの美しさや時間が明確になります。

1975年大阪府生まれ。東京の美大を中退後97年渡英、98年ミドルセックス大学美術学部入学。
在学中よりパフォーマンス、インスタレーションを主に発表を開始。ロンドンを始め、イギリス各地、パリ、ブリュッセルサンクトペテルブルク等で展覧会、フェスティバルに参加。
01年卒業、帰国。02年に大阪のCASにて個展、同年神戸アートビレッジセンターにて神戸アートアニュアル「ミルフィーユ」、03年「こもれび展」水戸芸術館、同年ウィーンのGalerie Krinzingerにて個展。在大阪。




名和 晃平 NAWA Kohei

「VoxCell」 発泡スチロール 2004
「Expansion/Scum #2」 発泡ポリウレタン、アルミボックス 2004
「PixCell -(White)#2」 ミクストメディア 2004
「PixCell -(White)#3」 ミクストメディア 2004

私たちが普段「見て」「触って」「感じて」いるもの、ひいては「もの」とは一体何か。人のリアリティーを支えている視覚と触覚の関係を焦点とし、CELL(細胞、器)という概念を彫刻の方法論に生かしながら展開している。
CELL・細胞は呼吸し、分裂して組織を作り、代謝を続けながら形を保とうとする。そういった生き物のようなリズムを作品の展開に持ち込みたい。それは私の身体感覚とも共鳴するはず。

1975年大阪府生まれ。98年京都市立芸術大学卒業(彫刻専攻)。同年英国王立美術院(Royal College of Art)交換留学。03年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。
03年京都府美術工芸新鋭選抜展にて最優秀賞。同年キリンアートアワード2003にて「奨励賞。04年大阪市より「咲くやこの花賞」受賞。
00年〜01年Boomerang Art Projectに参加し京都とブレーメンで展覧会。02年に大阪のノマルエディション/プロジェクトスペースにて個展。03年にノマルエディションとスタジオJ共催で個展、同年東京のアップリンクファクトリーにて個展。

名和晃平は新作4点を展示。これまでキリンアワードの入賞作品展などでその作品を一部見て気になる存在となっていたが、これまで見た作品は造形物や剥製などをアクリルで包み込んだ作品の連作で、今回はそれとは少し違う傾向の作品であった。水を貯めた方形の水盤の底から細かい気泡が噴出してきて、それが水面に形象を形成する「PixCell -(White)#2」 ミクストメディア 2004 「PixCell -(White)#3」 ミクストメディア 2004が面白かった。もっとも、以前に見たアクリルの細かい粒が造形物を結晶のように覆い尽くしている作品群とはPixCellという表題が統一しているので、動かないアクリルと動きつづける水の造形では随分感じが違うようだが、細かい泡、細胞といったもののイメージにこだわった作品であることは共通しているようだ。
 一方、稲垣智子は名前は聞いていたが実際にその作品を目にしたのは初めて。部屋の天井から金属製の細いワイヤーのようなもので無数につるされた花々と石鹸で作られた白い彫刻、さらに空から花が降ってくる映像、本人と思われる女性がユニットバスのなかで白い彫刻をオペラの一節を口ずさみながらゆっくりとタオルのようなものでこすっている映像の4種類の要素を組み合わせたもの。風呂のなかの彫刻が時間の経過とともにしだいに形を失っていくのがなんともいえぬとぼけた味わいをだしていて面白い。
 荒木経惟の写真はこの人選のなかでは知名度からいってもメインになるのだから、それが3点だけっていうのはもの足りなかった。