アンサンブル・ゾネ「Fleeting light」@神戸アートビレッジセンター
桜井圭介の提唱した「コドモ身体」は確かに最近の日本のコンテンポラリーダンスのひとつの在りようを提起したということがあるが、非「コドモ身体」のダンスにも豊饒な成果はもちろんある。アンサンブル・ゾネの岡登志子はピナ・バウシュ、スザンネ・リンケらを輩出したドイツNRW州立Folkwang芸術大学舞踊科の出身で、それゆえその作風にはヨーロッパのコンテンポラリーダンスに近い枠組みの中で作品を作っており、それゆえ、東京を中心にした最近の日本のコンテンポラリーダンス作品とは明らかに傾向が異なる。それゆえ、最近の踊るダンスへのある種バッシングとも言えるような風潮のなかで、こういう地味な作風は黙殺されかねないところがあるのだが、この「Fleeting light」という作品はよかった。ダンスなのかどうかがわかりにくいダンスと演劇なのかどうかが分りにくい演劇の観劇が最近続いたなかでひさびさにダンスらしいダンスを堪能させてくれたと思わせたからだ。
格別に素晴らしいと思わせたのは終盤に用意された岡登志子と中村恩恵のデュオ。