ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

ミクニヤナイハラプロジェクト「幸福オンザ道路」@STスポット

2010年7月2日(金)〜11日(日)
@STスポット横浜

作・演出・振付:矢内原美邦
出演:黒岩三佳、柴田雄平、鈴木将一朗、たにぐちいくこ、NIWA、光瀬指絵、守 美樹

☆公式ウェブサイト http://www.nibroll.com

【日時】2010年7月
2日(金)19:30開演
3日(土)14:00開演/19:00開演
4日(日)14:00開演/19:00開演
9日(金)19:30開演
10日(土)14:00開演/19:00開演
11日(日)14:00開演/19:00開演
※受付開始は開演の1時間前、開場は30分前になります

【場所】 STスポット横浜 http://www.stspot.jp/
〒220-0004 横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビルB1 TEL:045-325-0411

【チケット】先行発売5月15日(土)/一般発売22日(土)
○料金(整理番号付き自由席)
前売 2500円/学生 2000円/当日 3000円

○取り扱い
・プリコグWEBショップ http://precog.shop-pro.jp/(携帯電話からもアクセス可能)


【お問い合わせ】プリコグ
http://precog-jp.net info@precog-jp.net
TEL&FAX 03-3423-8669

ミクニヤナイハラプロジェクト
1997年にディレクター集団・ニブロールを設立して以来11年間、代表/振付家として活動してきた矢内原美邦が、「演劇作品」を製作することを目的に立ち上げたソロプロジェクト。些細にみえる日常を大胆に切り取りスケッチした物語群の中に、ノスタルジーを喚起する往年の日本アニメへのオマージュや自らが作詞する淡い青春ラブソングを織り交ぜ、意識的に「演劇的」でありながらも、様式に束縛されない手法が注目を集める。その圧倒的な情報量と運動量で知られる舞台では、劇画的にデフォルメされた自己中心的なキャラクターたちが、言葉と体をダンスするかのごとく高速回転させ、ドライブ感に溢れた魅力が生まれる。05年吉祥寺シアターこけら落とし公演として『3年2組』発表。07年ソロダンス作品『さよなら』で第一回日本ダンスフォーラム賞を受賞。08年『3年2組』で愛知県芸術劇場演劇フェスティバル出場。08年『青ノ鳥』で第52回岸田國士戯曲賞最終候補作品ノミネート、09年NHKシアターコレクションに出場。


ゼロ年代を代表するアーティストとして双璧だと考えているのがチェルフィッチュ岡田利規ニブロールミクニヤナイハラプロジェクト)の矢内原美邦である。そういう理由から実は先日、演劇批評誌「シアターアーツ」での「ゼロ年代演劇ベスト10」のアンケート*1にもミクニヤナイハラプロジェクト「3年2組」を選んだ。ところが驚くべきことと私に思われたのは主として演劇評論家を対象にしたこのアンケートにおけるミクニヤナイハラプロジェクトの評価の低さである。矢内原はやはりダンスの人でいまだ演劇の作り手とみなされていないということが背景にあるのかもしれないのだが、同じくダンスと演劇の境界線のようなところで活動していながらも、チェルフィッチュを選んだ人がけっこういたのにミクニヤナイハラプロジェクトを選んだのはついに私ひとりで、何人か舞踊評論家も含まれてはいるのだが、ニブロールを選んだ人も私以外には皆無だったのである。
「幸福オンザ道路」はそんな矢内原美邦の新作で、プレビューやインタビューなどではジャック・ケルアックの「路上」を下敷きにしたということだったが、一部に道路の映像(アニメーション)なども出てきくるけれど、舞台自体はロード・ムービー風というよりはむしろ室内劇だし、結局あまり関係がなかったようだ。今回は1時間ちょっとという上映時間だったのだが、本当はもう少し話の続きがあるということなのだろうか。この集団はいつも、大きめな劇場での本公演の前にあらかじめSTスポットのような小空間で準備公演を行い、今回もそれに当たるのだが、物語自体はどうもまだまだ続きがあるものの一部分ではないのだろうかと感じた。
 速射砲のような台詞回しや体に負荷をかけ動き回らせながらの台詞は少しづつ変化を見せながらも前作の「五人姉妹」を引き継ぐようなスタイルだが、この公演ではほとんどの俳優が最近の若手劇団の出演者を中心にワークショップで新たに集まられたメンバー(柴幸男作・演出の「わが星」の出演者もいた)で、ミクニヤナイハラプロジェクトが初めての人が多いこともあって、小空間なため「五人姉妹」の本公演の時よりは台詞は聞き取りやすい状況であるのにもかかわらず台詞が聞きとれないという度合いは「幸福オンザ道路」の方がより増している気がした。