ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』ももクロライブレポート

** 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』ももクロライブレポート
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ももいろクローバー
セットリスト
overture
M1:行くぜっ!怪盗少女
M2:マホロバケーション
M3:サラバ、愛しき悲しみたちよ
MC 自己紹介
M4:BLAST!
M5:もっ黒ニナル果て
M6:ワニとシャンプー
MC
M7:労働讃歌
M8:ChaiMaxx
M9:桃色空
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Perfume
セットリスト
M1: FLASH
M2:GLITTER
M3:Magic of Love
M4:If you wanna
M5:I still love U
M6:PTAのコーナー
M7:FAKE IT
M8: Miracle Worker
M9:チョコレイト・ディスコ
M10: TOKYO GIRL
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サカナクション
セットリスト
    新宝島
    M
    Aoi
    『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』
    三日月サンセット
    SORATO
    ミュージック
    アイデンティティ
    多分、風。

アンコール

    目が明く藍色
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 ロックフェスに初めてダウンタウンももクロバンド(DMB)が降臨。パフォーマンスの準備が始まって、楽器が並べられ出した瞬間にすでに今回はバンドと一緒だと気持ちが昂ぶったが、ももクロをあまり知らないロックファンの客層に対し、名刺代わりの1発とサウンドチェックの一環として、「ゴールデンヒストリー」を演奏してみせた時点でこの日のパフォーマンスの勝利は決定づけられていたかも知れない。周囲のももクロファン以外の観客からギターのそしてホーンセクションのタイトな音質に随所で驚きの声が上がっていた。
  そして、ついに「overture」。ネットの書き込みに「ももクロのステージは大勢集まったがほとんどがももクロファンだ」というような意味の書き込みがあったが、現地での実感は全く違う。私のももクロライブの初体験はあの伝説の大阪サマソニだったのだが、現地はあの時以上のアウエー。というかもはや氣志團万博イナズマロックフェスももはや限りなくホームに近いももクロにとってはひさしぶりに遭遇したアウエーの会場がROCK IN JAPAN FESTIVALだったが、それゆえにこそこのグループがもともと持っていてそれこそが最大の武器であった「場を支配していく力」を発揮して見せたライブだったのではないか。
 ただ、サマソニの時と全く違っていたのはスタジウム級の単独公演を何度も経験したこともあるグループのみが持つ、巨大空間の把握力で初めて見た観客を含め、会場に熱を感染させていく力が並みのバンドとは違っていたこと。その点ではこの日最後にパフォーマンスを行ったサカナクションがステージから遠い場所へも音楽的支配力を伝播させていく力として群を抜いていたが、Perfumeももクロを比べるとこの日のような野外フェスではももクロに軍配が上がったのではないだろうか*1
 特に最初の3曲「行くぜっ!怪盗少女」「マホロバケーション」「サラバ、愛しき悲しみたちよ」はももクロのパフォーマンス、DMBの演奏ともに鬼神を思わせる気迫を感じさせた。「行くぜ~」の杏果のフェイクにも今までに見たことがないほどあらぶっていたし、「サラバ~」の冒頭西川順のギターのギューンというひずんだ音によって引き起こされた歓声もまさにロックフェスならではのものだったといえよう。新曲「BLAST!」は盛り上がったし、個人的に私のこの日のベストアクトは「もっ黒ニナル果て」だった。
 ネット上では「ももクロが会場を埋めたのは次に始まるPerfumeを待っている客だった」などというデマ情報が流れているが、これは完全に間違い。ももクロの後はPerfumeではなく、KICK THE CAN CREWであり、「BLAST!」→「もっ黒ニナル果て」という流れが大いに受けて盛り上がっていたのはKICK THE CAN CREW待ちの客層の琴線に触れた可能性があるが、ももクロKICK THE CAN CREWのインターバルでは前方の観客はかなり入れ替わっていた。事実、私と一緒にいた連れもここで1度離脱して、Perfumeの前にステージに戻った。
 Perfumeのライブも以前大阪サマソニで雷の中断後、一部を見ているが、その後、映像を見る機会はあっても生で見るのはそれ以来で非常に楽しみしていた。映画が好きでYoutubeなどを何度も見ていたこともあり最初の曲が「FLASH」だったのはとても嬉しかった。ももクロPerfumeではパフォーマンスの方向性はまるで違う、というか正反対と言ってもいいが、タイトな音楽性と隙のないムーブメントが組み合わせられたPerfumeのライブは水準の高いものだった。ももクロの特徴が爆発的な熱量だとすれば、Perfumeのあくまでクール。とはいえ、クールや洗練だけというわけではなく、時折挟み込まれるあーちゃんのとぼけたトークや煽りがこのグループのアクセントとなって魅力の一端を担っていることがこういう作り込まれているというわけではないライブで見るとよく分かる。
 今年見たロッキンのライブでもっとも驚かされたのはサカナクションであった。ストレートにかなりいいバンドだというのはテレビの音楽番組などで紹介されて知ってはいたのだが、ライブと映像ではここまで違うのかとびっくりした。エレクトロダンスミュージック風の打ち込み音楽とロックバンドと両方の顔を持っているのだが、共通するのは初見であっても一緒に踊れて、歌えるという魅力であろう。ももクロPerfumeで相当体力的に消耗していたこともあり、少し後ろの方から見たのだけれど、周囲も盛り上がっていたし、ステージとの距離感を感じるということはほとんどなく楽しめた。ここ数年毎年「氣志團万博」に行っているせいで、巨大なライブ会場のいろんな場所からいろんな種類のバンドを見る機会がけっこうあるのだけれども、こういうことを体験したことは他にほとんどなくて、稀有のことだった。

*1:もちろん東京ドームのように制御された巨大室内空間ではまだまだPerfumeの方が1枚も2枚も上だろうというのは考慮に入れての結論である