ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

理事長から大量の海鮮が届く たこ虹の家にいるTV#45 連続配信最終回


たこやきレインボー / 「一緒に帰ろう」Music Video(HANDSIGN ver.)

理事長から大量の海鮮が届く たこ虹の家にいるTV#45   連続配信最終回

 

 自粛期間の癒しの源だったたこやきレインボー(たこ虹)による連続配信「たこ虹の家にいるTV」が最終回を迎えた。今回は事務所の社長でもある理事長(藤下リョウジ社長)から大量の海鮮がたこ虹ハウスに届き、メンバーの狂喜乱舞のなか、連続配信のフィナーレを迎えた。
たこ虹は人気俳優が多数所属する大手芸能事務所スターダストプロモーション所属のアイドルグループ。アイドル部門であるスタプラスターダストプラネット)ではももクロエビ中の後輩グループにあたる。
大阪でメンバー5人で共同生活を送るたこ虹ハウスから毎日晩御飯時の午後7時28分(なにわにちなんでいる)から生配信で自分たちが晩御飯を作って皆で食べる姿を生配信してきた。
たこ虹は最年少の彩木咲良が高校を卒業。ようやく学業の縛りなく、全員が自由に活動できるタイミングとなった今年、新曲を擁した全国ツアー「たこ虹ハウス」など一気に打って出ようとの構えだった矢先の今回のコロナ禍。スケジュールすべてが白紙に帰するなど出足をくじかれることになったが、こんな状況で急遽始まったのが「たこ虹の家にいるTV」であった。
先輩のももクロも「逆境こそがチャンス」と歌っているが、文字通り全員で一緒に暮らしているという利点を活用して、普段は別に暮らしていたマネージャーの番長もたこ虹ハウスに長期滞在して全員が一緒に暮らしながら毎晩Yuotubeで生配信を開始。この日まで配信は45回を数えた。
 最近、テラスハウス問題などでリアリティーショーのことが話題になっているが、本当のリアルを垣間見せるという意味ではこれこそ本当の意味でのリアリティーショーではないかと思う。
 特に連休期間などはももクロが連日「家にいるTV」終了直後から連日過去のライブ映像の配信をしたこともあって、ももクロファン(モノノフ)の中には両番組をはしごで見る人も出てきて、モノノフへの訴求力は大幅に上がったのではないか。
 さらに言えばこの番組は単に日常を配信するというだけではなくて、メンバーの創意により、当然始まる寸劇(代表作は何度も繰り返された「チーズケーキ」)などこれまでテレビ番組を一緒にやってきたMC陣に鍛え抜かれた集団芸の実力が随所に発揮される面白さもあって、この期間中アイドルの配信などをいくつも見る機会があったが、「たこ虹の家にいるTV」はそういうものとは一線を画しているとの印象を受けたのだ。
 メンバーのクリエイティビティーも発揮されたが印象が一変したのは彩木咲良(さくちゃん)である。
 神回といわれた全編が壮大なコントといってもいい「さくぴょんのメイドカフェ*1の奇才ぶりから最後には一転してたこ虹ハウスのオリジナルソング「一緒に帰ろう」*2を作詞作曲、ギター演奏する多才ぶりも発揮した。
<iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/wkV0e3nruec" frameborder="0" allowfullscreen=""></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=wkV0e3nruec">たこ虹の家にいるTV#45</a>

 

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:
たこやきレインボー / 「一緒に帰ろう」Music Video(HANDSIGN ver.)</a>

 ガールズ・グループの祭典 RAGAZZE!~少女たちよ!~@NHKホール 

 ガールズ・グループの祭典 RAGAZZE!~少女たちよ!~@NHKホール 

 せっかく観覧が当選していたのに右腕骨折の手術入院で行けないと嘆いていたら、新型肺炎がらみで観客には非公開になった。悔しさが薄れたのはなぜ(笑)。我ながら小さい人間だ。

日時
2020年2月28日(金)
開場:午後5時
開演:午後6時30分
終演予定:午後10時

会場
NHKホール(東京都渋谷区神南2-2-1)

出演
=LOVE、AKB48、たこやきレインボー、BEYOOOOONDS、フィロソフィーのダンスモーニング娘。'20、ももいろクローバーZ (五十音順)
 ももいろクローバーZ 「ロードショー」「Chai Maxx」「笑―笑~シャオイーシャオ!~」「走れ!-ZZ ver.-」
 AKB48 スペシャルメドレー「会いたかった」「大声ダイヤモンド」「言い訳Maybe」「RIVER」「ポニーテールとシュシュ
最新曲「失恋、ありがとう」
=LOVE
「ズルいよ ズルいね」「手遅れcaution」
フィロソフィーのダンス
「ダンス・ファウンダー」「シスター」
たこやきレインボー
絶唱!なにわで生まれた少女たち」「どっとjpジャパーン!」BEYOOOOONDS
「眼鏡の男の子」「ニッポンノD・N・A!」

 

 今回の放送は今後BSで放送される番組の予告編的な意味合いが強かったのかもしれないと感じた。NHKでのももいろクローバーZAKB48モーニング娘。20の共演は画期的なことかもしれないが、逆に言えば記念碑的な意味しかないかもしれない。
 モノノフの一部がももクロの出演が抜粋だけになっていたことで不満を漏らしていたが、ももクロはもはやアイドル番組において爪痕を残すような存在ではないかも。
 逆にたこやきレインボー(たこ虹)にとっては極めて大きな地上波音楽番組出演だったのではないだろうか。選曲には若干疑問が残ったが、2曲目はゲストとの関係からの曲側からの指定ということであれば仕方ないと言えよう。コロナ感染で手足を挫かれた感はあるが、さくちゃんの高校卒業を機に全員がフル稼働できる体制となることから今後今まで以上の攻勢にでることになりそうで、スタートの号砲代わりにはなったのではないか。
歌唱力の高いグループが集まったために口パクではないかとの疑念がtwitterでささやかれたようだが、ももクロとたこ虹、そしてAYAKARNIVALで見たことのある=LOVEも確実に生歌、ハロプロの2グループも生歌であるのは間違いない。歌唱力がありそこを強調したいフィロソフィーのダンスはもちろん生歌であろう。

「ミューコミプラス」 presents スタプラアイドルフェスティバル~今宵、シンデレラが決まる~@横浜アリーナ

ミューコミプラス」 presents スタプラアイドルフェスティバル~今宵、シンデレラが決まる~@横浜アリーナ

 
出演

ももいろクローバーZ私立恵比寿中学、TEAM SHACHI、たこやきレインボーばってん少女隊、ときめき♡宣伝部、はちみつロケット、アメフラっシ、いぎなり東北産、ukka(桜エビ~ず)、CROWN POP、B.O.L.T

【MC】吉田尚記ニッポン放送アナウンサー)

■概要
 「ミューコミプラス」 presents スタプラアイドルフェスティバル~今宵、シンデレラが決まる~
 日程:2020年1月19日(日)
会場:横浜アリーナ(神奈川県横浜市)
時間:開場12:00(予定) 開演15:00 ※【11/28情報更新:開場時間が変更になりました】

https://event.1242.com/special/stapla2020/

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 年長組グループ(ももクロ私立恵比寿中学、TEAM SHACHI、たこやきレインボー)の楽曲を妹グループ8組のメンバー46人がメドレーで歌い、たったひとりのシンデレラを会場の横浜アリーナにいる人が投票でその場で決めるという「今宵、シンデレラが決まる」はライブパフォーマンスにおける実力主義を貫いていて、いかにもスタダらしい企画だった。

 そして、結果的にシンデレラの座を射止めたのはCROWN POPの三田美吹。グループ自体の知名度も現時点では高いとは言い難いし、この日のライブが始まる前までは会場にいる多くの人にとってはほぼノーマークだったのではないか。それでも組織票なんかじゃなくて、彼女が選ばれたのがこの企画に相応しいし、こういうことになるのがスターダストプロモーションという事務所のよさではないかと思う。
<iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/Y3svyYPscmo" frameborder="0" allowfullscreen=""></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=Y3svyYPscmo">#スタプラフェス シンデレラ決定戦で選ばれたCROWN POP #三田美吹 ちゃん生登場!! #一翔剣 #ミューコミプラス</a>


 私自身はいろいろ迷った挙句に別の子*1に投票したのだが、終わった後のラジオとかで「走れ」の落ちサビを見事に自分の歌い方で歌い切った三田美吹はこの日のシンデレラにふさわしかったと思う。さらにいえばもともと有力候補と見做されていた他の子たちは別のチャンスをつかむ機会がまだまだあるだろうけれど、もともと実力はあるのに地味に見える立ち位置に置かれていた彼女にとっては千載一遇のチャンスだったと思うし、それをつかみとった運と実力はアイドルが持つべき資質だと思った。
<iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/693TVWSAAr4" frameborder="0" allowfullscreen=""></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=693TVWSAAr4">【MV】CROWN POP「真っ白片思い」</a>
  イベントは年少組8グループのオープニングアクトからスタート。メンバーの代表によりあらかじめ抽選した出演順は ①ときめき♡宣伝部 ②ukka
③B.O.L.T ④いぎなり東北産 ⑤はちみつロケット ⑥アメフラっシ ⑦ばってん少女隊 ⑧CROWN POPの順であった。
 ライブの時の観客の盛り上がりなどを考慮して単純に勢いを感じたのが①ときめき♡宣伝部と④いぎなり東北産。特にいぎなり東北産は粗削りながら、こういうアウエーとも言える自分達のことをあまり知らないような観客を巻き込んでいく状況での爆発力は凄い。
 ただ、この日感心させられたのは⑤はちみつロケット。いぎなり東北産のような圧倒的な爆発力はないけれど、直前が東北産で客席が前の余韻を引きずってざわざわしているところをその空気感を消し去って瞬時に自分たちの雰囲気に変容させてしまった。抜群の歌唱力を持つようなメンバーはいないのだけれどいいグループだと再認識させられた。播磨の存在が目立つのでひとりだけセンターステージに飛び出した時は「また播磨が」などと思ったのだが、これは新センターとなっている公野舞華でどちらかというと引っ込み思案に見えた公野がこれはこで出てきた意味を考えた時に何かぐっとくるものがあった。
 アメフラっシは最初の曲がももクロのカバー曲の「あんた飛ばしすぎ!!」「月並みファンタジー」「雑踏の中で」の3曲。ライブスタイルダンジョンで勝利の決め手となった「STATEMENT」のような熱唱曲で攻めるかと思ったが、聴かせる歌を選んだ2曲、3曲目は果たしてどうだったのか?
 オープニングアクトの最後がシンデレラの三田美吹を出したCROWNPOP。実はライブスタイルダンジョンの1回目で惨敗したのをニコ生で見て以来ひさしぶりに聞いたのだが、パフォーマンスが格段と魅力的になっていて驚いた。ここはもともとツインボーカルと残りのメンバーがダンサーという構成になっていて、メンバーのうち2人しか歌わないのがライブスタイルダンジョンの敗因となっていたのだが、最近の歌では全員に歌割りを振るようになっていて、それでいて大事な聞かせどころは三田美吹、里菜のツインボーカルがしっかりと聴かせるようになっていた。これは大きな魅力アップになっていて、面白いと思ったので同様の好感を持つ人も多く、これが、三田個人の歌唱とあいまってシンデレラへの決め手となっていったかもしれない。

*1:かねて高いアイドル性を持っていると思っていたアメフラっシの愛来に投票したのだが、10秒自己PRで「ヤンキーです」と宣言していたのはまったく意味不明でネガティブキャンペーンでしかないと思われ、負けるべくして負けたように思う。歌割にも運がなかった。

ももいろクローバーZ「第3回 ももいろ歌合戦

ももいろクローバーZ「第3回 ももいろ歌合戦@横浜アリーナ(現地参戦)

第3回 ももいろ歌合戦

タイムスケジュール
16:30〜
年忘れももクロライブスタート
17:30〜
歌合戦まで待てない!年の瀬芸能ショー
18:30〜
ももいろ歌合戦スタート

新春ももクロライブ

終演

※予定スケジュールとなり、変更になる場合がございます。

会場:神奈川・横浜アリーナ

キャスト
【総合司会】
東京03 [3]
【応援団長】
紅組:野々村真 [初]
白組:森尾由美 [初]
【出演者 (50音順、[ ]内は出場回数)】
浅草出身の大物師匠[2]
アップアップガールズ(仮)[2]
新木優子[初]
飯塚高史[2]
泉谷しげる[初]
m-flo[初]
大友康平[2]
岡田将生[初]
角田晃広東京03)[3]
カジサック[初](VTR)
上沼恵美子[初]
氣志團[3]
Kizuna AI[初]
Creepy Nuts [2]
倖田來未[初]
サイプレス上野とロベルト吉野[3]
さだまさし[3]
C&K[初]
塩乃華織[3]
笑福亭鶴瓶[3]
私立恵比寿中学[初]
水前寺清子[3]
杉山清貴[初]
SUPER★DRAGON[初]
高橋洋子[初]
たこやきレインボー[2]
CHAI[初]
峮峮(ちゅんちゅん)[初]
東京女子流[2]
東京ホテイソン[初]
徳井健太平成ノブシコブシ)[3]
中澤卓也[初]
永野[3]
西川貴教[初]
NOKKO[初]
ノブ(千鳥)[3]
妃海風[初]
ヒプノシスマイク[2]
平松愛理[初]
ファンキー加藤[初]
Fischer’s[2](VTR)
FLOWER FLOWER[初]
Poppin’Party[初]
BOYS AND MEN[2]
松崎しげる[2]
松本明子[3]
ももいろクローバーZ[3]
森口博子[3]
和田彩花[初]
【年の瀬芸能ショーMC】
小松靖
徳井健太平成ノブシコブシ
永野
ノブ(千鳥)
弘中綾香
【年の瀬芸能ショー出演者(50音順、[ ]内は出場回数)】
アップアップガールズ(2)[初]
EBiDAN KiDS[初]
カミングフレーバー(SKE48)[初]
ジョーク東郷[初]
東京ホテイソン[初]
ノブ(千鳥)&玉井[初]
B.O.L.T[初]
松浦航大[初]
眉村ちあき[初]
みぎてやじるし ひだりてはーと from 今日、好きになりました。[初]

ももいろクローバーZ「第3回 ももいろ歌合戦」2019年12月31日 横浜アリーナ セットリスト


紅組
01. アップアップガールズ(仮)「アッパーレー」
02. 氣志團「stay gold」
03. 高橋洋子残酷な天使のテーゼ
04. 塩乃華織「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」「Let It Go~ありのままで~」
05. m-flo「come again」
06. 和田彩花「Une idole」
07. BOYS AND MEN「炎・天下奪取」
08. ファンキー加藤 feat. ももいろクローバーZ「吼えろ」
09. FLOWER FLOWER「パワフル」「CHE.R.RY」
10. サイプレス上野とロベルト吉野 feat. タコライス玉井「Let's Go 遊ぼうZE 2 feat. YOUR SONG IS GOOD
11. たこやきレインボー「もっともっともっと話そうよ-Digital Native Generation-」
12. 水前寺清子「いっぽんどっこの唄」
13. 西川貴教T.M.Revolution)「Meteor-ミーティア-
14. ヒプノシスマイク「ももいろ応援ラップ」
15. ビートきよし浅草キッド
16. 角田晃広東京03)「さよならのオーシャン
17. さだまさし「償い」
18. 倖田來未「GOLDFINGER 2019」
19. 泉谷しげる「春夏秋冬」

白組
01. 私立恵比寿中学「ジャンプ」
02. SUPER★DRAGON行くぜっ!怪盗少女
03. Poppin'Party「キズナミュージック♪」
04. 妃海風「これが恋かしら」「夢はひそかに」
05. C&K「Y」
06. 東京女子流「鼓動の秘密」
07. Fischer's「未完成人」
08. 中澤卓也「さくら(独唱)
09. CHAI「N.E.O.」
10. Creepy Nuts「あゝオオサカdreamin' night」
11. Kizuna AI「AIAIAI(feat. 中田ヤスタカ)」
12. 加山雄三「お嫁においで」
13. 森口博子水の星へ愛をこめて/with寺井尚子
14. 松本明子「お祭りマンボ」
15. 大友康平「BRIDGE~あの橋をわたるとき~」
16. 杉山清貴ふたりの夏物語
17. 平松愛理部屋とYシャツと私~あれから~」
18. NOKKO「フレンズ」
19. 松崎しげる愛のメモリー

三百六十五歩のマーチ / 水前寺清子&LINE UP

<b>ももクロカウントダウンライブ</b>
00. overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
01. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
02. stay gold
03. オレンジノート
04. 吼えろ
05. 走れ! -ZZ ver.-
06. 今宵、ライブの下で

 

 昭和のエンターテインメントと令和のエンターメントの融合が昨年のももいろクリスマスの主要モチーフでももクリはそれを「シャボン玉ホリデー」的なテレビの歌謡ショーの再現として具現化したのだが、今回のももいろ歌合戦もその延長線上にあると言ってもいいのかもしれない。
 ももクリではそのことはクレージーキャッツを完全に再現したような中山秀征には賛否両論があったようなのだが、今回のももいろ歌合戦では最近ではあまりないような懐かしいバラエティー企画の再現(例えばたけし軍団による熱湯風呂)とYoutuberのFischer’sによるそれをアップデートした企画を並置することで、大人も若い人もあらゆる年代の人が楽しめる内容になっていたのではないかと思う。
 ももいろ歌合戦はもちろん同時刻にNHKで放送されている紅白歌合戦を意識して制作されてはいるのだけれど、それだけではない。豪華なゲスト陣はもちろん魅力的ではあるのだけど、出演者のメンツだけなら本家に勝つのは難しい。しかし、特にももクロファンにとってこの企画を魅力的にしているのはホスト役のももクロの縦横無尽の活躍ぶりで、目標するグループの中にSMAPや嵐というアイドルグループだけではなく、ドリフターズを掲げたももクロがそれが体現する芸能の世界というものを継承するという心意気を見せるというところだ。
 それは毎年経験値を上げることで多彩さを広げている。例えば昨年の明治座での経験を生かして、今年は本広克行監督の演出により、佐々木彩夏百田夏菜子が殺陣による立ち回りをする時代劇を取り入れたり、玉井詩織に至ってはその器用さを生かして個人芸として漫才やラップまでも披露。
 この歌合戦は古き良き時代の紅白歌合戦に対する敬意とオマージュとともにももクロが結局はじき出される結果になった現在の紅白に対する若干の批判精神によって製作されているかもしれない。そのことの2つの柱がフル尺での歌唱と生歌であろう。そのことは本家の紅白がほとんど口パク(リップシンク)の演出になっていることへの批判が世間でも広がっているなかで、年を経るごとにますます注目となっている。
 そのことはベテラン歌手の選曲などで大きな意味を持ってきている。そのことをもっとも感じさせたのはさだまさし「償い」。交通事故死を引き起こした男の償いというシリアスな主題を扱い全体としての起承転結がはっきりあり、最初から最後まで歌わないと意味がない歌であり、「紅白では歌えない歌」としてあえてさだがこれを選んだのではないかと思った。最初から最後までフル尺で歌わないとだめな歌という意味では病気で亡くなってしまった妻への思いを絶唱したC&K「Y」も地上波では披露しにくい歌としてあえて選んだのではないかと思われ、さだとC&Kのパフォーマンスはどちらも心に響くものであった。
 そうした実力派の歌唱はこの歌合戦のひとつの柱ではあるけれどもうひとつは紅白が選べないようなグループを先んじて選びフレッシュなパフォーマンスを披露させることだ。今年の目玉ではメインのラインナップにKizuna AI、 CHAIが入ったものそうだが、「歌合戦まで待てない!年の瀬芸能ショー」という枠を新たに作り、カミングフレーバー(SKE48)や眉村ちあきを選んだのはよかったし、実際のパフォーマンスでもこの2組は非常によかったと思った。

 

www.momoclo.net

氣志團万博2019~房総ロックンロール最高びんびん物語~@千葉県・袖ケ浦海浜公園2日目

** 氣志團万博2019~房総ロックンロール最高びんびん物語~@千葉県・袖ケ浦海浜公園2日目
<figure class="figure-image figure-image-fotolife" title="氣志團万博タイムテーブル">f:id:simokitazawa:20190910013135j:plain<figcaption>氣志團万博タイムテーブル</figcaption></figure>
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2019年9月15日(日)千葉県 袖ケ浦海浜公園
<出演者>
YASSAI STAGE

10:15 マキタスポーツ
10:30 ゴールデンボンバー
11:50 ももいろクローバーZ
13:10 10-FEET
14:30 ACE OF SPADES
15:50 マキシマム ザ ホルモン
17:10 田原俊彦
18:30 新しい地図 (草彅剛・香取慎吾稲垣吾郎)
19:55 氣志團

MOSSAI STAGE

09:30 DJ ダイノジ
11:15 打首獄門同好会
12:35 C&K
13:55 私立恵比寿中学
15:15 t-Ace
16:35 大島渚
17:55 SUPER BEAVER
19:15 ヤバイTシャツ屋さん
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 台風被害で千葉県各地でいまだ一部停電が続くなどの危機的状況のなかで今年の氣志團万博は開催された。氣志團万博には大(YASSAI STAGE)、小(MOSSAI STAGE)2つのステージがあるが、混雑の中で両ステージを移動するには少し時間がかかるので、今年は私立恵比寿中学エビ中)以外はYASSAI STAGEの演目を見ることになり、エビ中と時間的に重なっていた10-FEETを除くすべての演目を見ることができた。
 もちろん、今年も最大の目的はももクロのライブを見ることではあったが、今年はそれ以外にも見るべきものが多かった。とはいえ、まずはももクロのパフォーマンスの感想から。
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リハーサル

ザ・ゴールデン・ヒストリー
本編

Nightmare Before Catharsis
あんた飛ばしすぎ!!
ココ☆ナツ
鋼の意志
ツヨクツヨク
行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
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 今年の最大の特徴は氣志團万博にも初めてダウンタウンももクロバンド(DMB)を帯同したことだ。3回にわたるロッキン、JAPAN JAMなどへの参加でフェス参加への方程式を確立してきている。そのうちのひとつが通常のバンドでは本番に向けての音響チェックに終始するリハーサル時間で、各楽器の奏者がまるでそれぞれ歌舞伎役者が名乗りを上げるかのようにチェックも兼ねて、それぞれの演奏を披露。その後、ももクロメンバーが舞台裏でひとりづつマイク、発声そしてマイクからイヤモニへの返りなどをチェック。そのまま4人合わせての歌唱が始まるとバンドも即座にそれに呼応。この日は「ザ・ゴールデンストーリー」の演奏がスタートした。ロッキンといいJAPAN JAMといいこれだけで毎回楽しませてもらっているがパフォーマンスの持ち時間が限られる中でぎりぎりまで楽しませようというサービス精神がももクロだと思うのである*1
 そして、この日はとりあえず「ももクロ万博」恒例の国歌斉唱はあったものの本編に入るや夏ライブ、ももクロMANIA以来の「Nightmare Before Catharsis」から「あんた飛ばしすぎ!!」とロック調の激しい盛り上げ曲連発。そして、ココナツサークルがモノノフだけならず他のバンドのファンたちにもすっかりおなじみになっている夏ライブ定番曲「ココ☆ナツ」とつなぎ、これぞももクロだというのを見せつけた。
 とはいえ、この日の本当の見せ場はこの後にあった。ももクロの特色のひとつは楽曲それぞれのメッセージ性の強さである。実はこのライブではこの後、曲を中断して氣志團が登場してのももクロ氣志團への「これまで呼んでくれてありがとうございます」の感謝状贈呈のセレモニーがあり、それに対して今度は氣志團ももクロに向けて感謝状と第二ボタンで作ったメダルを渡すというサプライズ的演出があった。ここまではこの両者の関係にほっこりするといえばほっこりするが茶番めいた感じでもあり、ここから続いて「この歌を氣志團さんに捧げます」と前振りして歌いだす。
 そして、氣志團の歌を何か歌うのかなと予想したところで歌いだしたのが「鋼の意志」だった。国立競技場ライブの時にアルフィー高見沢俊彦が提供した曲だが、実は一時期ライブの定番曲として歌いすぎた時期があったためファンの一部から「また鋼かよ」などの文句が出ていたせいか、その後はあまり歌われなくなっていた楽曲でもあった。
 そのため、茶番的な空気感を背負ってこの曲に入ったこともあり、「氣志團に捧げるといったのにアルフィーかよ」みたいな落ちかな一瞬は思ったのも確かだった。それだけに会場のモニターに映される鋼の歌詞とももクロの歌を聴いているうちに「これはそんなものではない」ということが次第に分かってきた。
<iframe width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="" src="//www.youtube.com/embed/Ggog7tCO9SQ"></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=Ggog7tCO9SQ">【カラオケ】鋼の意志/ももいろクローバーZ</a>
 ももクロはMCなどでそのことに触れることはいっさいなかったが、これは明らかに彼女たちのそしてももクロ陣営の氣志團氣志團万博、そしていまも停電の危機的状況にある千葉県の被災者に対するエールだ。このことに気がついた時、涙が止まらなくなった。
 疑問を感じる人は動画サイトへのリンクから歌詞を参照してみてほしい。そして、この瞬間この「鋼の意志」は被災地応援ソングとして新たな命を吹き込まれた。そして、ももクロは「ツヨクツヨク」を歌う。これももともとはカバー曲だが東日本大震災の傷跡が生々しく残る2011年に幾度となく歌った歌*2で、彼女たちにとっては被災で沈んだ人々への応援歌的な意味合いが強い思い入れの強い曲なのだ。
 氣志團万博の今回の開催には賛否両論の声があったのも確かだ。ももクロにも批判は起こるかもしれない。ももクロは来年春の大規模野外ライブを福島県Jヴィレッジで開催するのだが、今回の氣志團万博参加も福島でのライブもももクロにとっては必然である。それがいつどんな時であっても「笑顔を失った人に笑顔を届けにいく」。これこそがももクロレーゾンデートル(存在理由)だからだ。
 そして、実は今回の氣志團万博のもうひとつの大きなテーマは「アイドル」ということではなかったのか。新しい地図 (草彅剛・香取慎吾稲垣吾郎)のライブを見ながらそう思った。
 私はSMAPの熱心なファンといういうわけではないけれど、ももクロがこういう存在にいつかなりたいとかなり以前からSMAP、嵐、ドリフターズのことを挙げていたこともあってももクロファンになってからは特に気にして見るようになっていた。それだけにSMAPの解散はショックであった
*3
し、解散後に今回の3人が行った動画配信のライブ*4はリアルタイムで見ていた。実は以前に取材の仕事をしていたので、まだ無名時代のSMAPのメンバーを記者会見で目にしたことはあるし、メンバーが出演していた演劇公演も幾度となく見ているが、ライブを生で見たことはこれまでなかった。

それで今回初めてライブを見たわけだが、一番凄いと思ったのはSMAP時代のヒット曲はもちろん歌えないから、ほとんどの曲が初めて聞く曲なのだが、それでも「あーSMAPだ」と思わせる力が3人にあることだった。
>>
セットリスト

#SINGING
72かのナニかの何?
MC with 氣志團
歩いて帰ろう (斉藤和義cover / 草薙剛 アコースティックギター with 氣志團)
MC
星のファンファーレ
72
MC
雨あがりのステップ
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 これが全員が歌唱するアイドルグループがバンドと違って面白いところで、SMAPのメインボーカルは確かに木村拓哉だったと記憶するのだが、3人になってもアンサンブルがある限り、SMAPらしさは薄まっていない。これは杏果が抜けてもももクロももクロであるのと同じかもしれない。
 披露した曲の中には聴くだけでいい曲と思わせるものもあった。SMAP時代に出していたら相当にヒットしてたんじゃないかと思わせるような曲もあるのだが、レコード会社との契約もしていないこともあり、ファン以外の世間には知られていないのがもどかしくもある。そういう意味で現在はそういう客観的な状況もあってSMAP時代と比べると音楽の占めるプライオリティーがどうしても低くならざるをえない3人にとってもファンにとっても今回のフェス参加は大きな意味があったのではないかと思った。そして、嵐、ドリフターズのメンバーと比べるとこれまではあまりからむことがなかった元SMAPメンバーとの関係が実現するチャンスにつながっていくのではないかとの可能性も感じたのだ。ファンの欲目と見られても仕方がないが、ももクロにはいくつもSMAPを思わせる楽曲があり*5、ことパフォーマンスに関して言えば新しい地図の3人とももクロの4人には高い親和性があると考えている。
 このようにももクロ新しい地図 (草彅剛・香取慎吾稲垣吾郎)のライブはいろんなことを考えさせ、とても感動的なものだったのだが、純粋にパフォーマンスだけを考えれば、田原俊彦のそれが素晴らしかった。まず第一にスターとはこういう存在だというオーラをまとっていて、テレビなどにはあまり出なくなっている今もそれは変わらないし、ハイキックのアクションの際に上げる足の高さなどダンスの切れが素晴らしく、若いバックダンサーと一緒に同じ動きをしても何ら遜色がないどころか、ターンなどのスピードではダンサーを凌駕していた。
 さらに言えば私は田原俊彦のファンではないどころか、どちらかというと関心は薄かったはずなのにノンストップメドレーで次々と歌った歌のすべてを知っていた。いまではよほど好きなアーティスト以外はそういうことはないわけだが、当時はそうだったんだなと思い出した。
 ジャニー喜多川が亡くなったということは今年の最大の芸能ニュースであり、おそらく年末の歌番組でもいくつも特集が組まれるようだが、この日はもちろんジャニーズ事務所の出演者はいなくて、それは同事務所のこれまでやり方から言えば出来ることではないわけだが、田原俊彦新しい地図の後に出てきた氣志團は自分たちの曲は2、3曲に抑え、「私のもっとも尊敬していた人が亡くなった」との前置きをつけかなり長い尺をとってジャニーズメドレーを歌ったのだ。しかもそのメドレーの中にはこの日3人が歌えなかったSMAPの楽曲も入っていた。これはもちろんジャニーさんへのオマージュであり、功績をたたえるものであり、今回同事務所を抜けた人間を並べたのはのは決してジャニーズ事務所に敵対する意図はないよというのを示した一方で新しい地図の3人の現状への異議申し立てあったのではないかと思う。この辺りのバランス感覚が氣志團の絶妙なところだ。
 今までも近藤真彦ジャニーズ事務所のタレントが出演したことがあるし、そもそも今回田原俊彦に声をかけたことにはマッチが来ているからというのはあったろう。
 今年はスターダストからももクロ私立恵比寿中学が参加したが、BiSHも参加しているし、かつてはAKB48が参加したこともあったはずだ。反骨精神とバランス感覚の絶妙のコンビネーション。これこそ氣志團であり、だからこそこのような地元の危機状態にあえて自らが全てを引き受ける形で開催を決断することが出来たのだと思う。最後に万感の思いをこめて歌った「明日がある」には本当に胸に迫るものがあった。
 

*1:もちろん、そこにはそれだけなく本番スタートの瞬間からフルスロットルでいけるように会場をあたためておくという狙いもあるだろう

*2:<iframe width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="" src="//www.youtube.com/embed/FMAYdbw83y8"></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=FMAYdbw83y8">ももいろクローバーZ『ツヨクツヨク&未来へススメ』仙台2011-5-14</a>

*3:ももクロSMAP
simokitazawa.hatenablog.com

*4:simokitazawa.hatenablog.com

*5:私がもっともSMAPを連想した曲。今回はリハーサルで声と演奏だけで披露。
<iframe width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="" src="//www.youtube.com/embed/UaEoP0mvHFI"></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=UaEoP0mvHFI">【ももクロLIVE】ザ・ゴールデン・ヒストリー from「桃神祭2016 〜鬼ヶ島〜」DAY2 / ももいろクローバーZ(MOMOIRO CLOVER Z / THE GOLDEN HISTORY)</a>