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弘前劇場「F・+2」

 弘前劇場の公演には現代口語津軽弁による群像会話劇の本公演と少人数のキャストによる実験性の高いFRAGMENTと名付けられた公演がある。今回上演された「F・+2」(1/11=こまばアゴラ劇場)は後者に当たる。この公演では本公演のような方言(口語表現)を駆使して人物間の微妙な距離感の違いを表現する手法は取らず、台詞はほぼ東京口語に近い形でかわされ、それゆえにいつも以上に長谷川孝治のむきだしの個性を感じさせる公演となった。
 登場人物は四人だが、物語の根幹をなすのはともにガソリンスタンドで働く後藤伸也演じる粕谷とその大学時代の後輩、中山(沼澤豊起)の二人で、芝居はほぼこの二人の関係を巡って展開する。
 粕谷は映画の話、故郷の話、一見なにげない会話を続けながら、後輩である中山を精神的にいたぶっていく。しばらく見ていると二人の間になにかわだかまりがあり、それが理不尽ともいえる粕谷の態度につながっていることが分かってくるのだが、会話は核心には触れずに周囲を旋回し、徐々に二人の間の緊張感はタイトロープから、一足触発の状態にまで、高まっていく。
 これを象徴するのがこの芝居に基調低音として流れるのは不快なまでの暑さについての言説である。芝居冒頭近くの粕谷の最初の台詞「暑い
な」に始まり、「どうでもいいけど暑いな!」「いいって、暑いなぁ、ここ」「暑い!」(粕谷)、「勘弁してくださいよ、暑いんだから」(中山)と二人の会話のなかで変調を続けながらもくどいほどに繰り返される。繰り返しを通じて不快感はしだいにクレッシェンドしていく。