ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

モノノフによるアイドルミステリ 太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」

太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」

太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」読了。著者のミステリ作家、太田忠司さんは玉井詩織推しのモノノフ(ももいろクローバーZのファン)。この本の主人公は元SPの警備会社社長、万屋大悟。娘が地方都市に活動の拠点を置く、5人組のローカルアイドル「marshmallow15(いちご)」のリーダーをやっていて愛称は「ちおりん」(万屋知識)。コアな観客が十数人というローカルなアイドルではあるが、この5人組、最初は6人いたが、活動初期にひとりが離脱して現在は5人など明らかにあの国民的5人組女性アイドルグループを思わせるところがありありなのだ。

 ミステリファンだけではなく、モノノフ必読の一冊。これを原作にぜひテレビドラマをなど言いたいところだった*1のだが、実はこの本を読んでいる途中で杏果の卒業が発表になってそれどころじゃなくなった。歌が一番上手いメンバーの脱退騒動などの顛末もあり、現実のシンクロ具合いがしゃれではすまない。読んでいて胸が痛くなる場面が随所に出てくるのだ。

 私は緑推しではあるけれどもうこうなったら、作者にはここまで書いたならあのメンバーはきちんと脱退、ソロ歌手デビューをさせてあげてほしい。そして、4人となったアイドルグループの後日談もちゃんと書いてほしい。そして、「万屋大悟のマシュマロな事件簿」では万屋大悟は活躍してもメンバーの活躍の場面は限られていたから、今度は赤川次郎の「四姉妹探偵団」のようにメンバーの4人も事件解決に関与するようなものにしてほしい。その方がドラマ化の可能性も上がるのじゃないかと思うのだが……。

 

万屋大悟のマシュマロな事件簿

万屋大悟のマシュマロな事件簿

 

 

*1:ドラマになったことはないのに表紙に遠藤憲一が使われていることなど作者自身にその色気ありありである

映画「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」@新宿バルト9


映画『咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A』予告

映画-Saki-阿知賀編 episode of side-A」@新宿バルト9

  映画「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」は「咲-Saki-」の続編。キャストにアイドルや若手女優を揃え、漫画、アニメの原作にそっくりなルックス、役柄作りをさせるという方針で映画化しているのが特徴。

 アイドルではいろんなグループが参加しているが、スターダストプロモーションでは前編に私立恵比寿中学エビ中)所属(当時)のぁぃぁぃが出演したこともあってか今回は物語の中心となる阿知賀女子学院のメンバー5人のうちのひとり、鷺森灼役にエビ中中山莉子が選ばれた。ライバル校、千里山女子高校のエースで1巡先を見通すという特殊能力の持ち主、園城寺怜役にチームしゃちほこの咲良菜緒が抜擢されたほか、江口セーラ役に桜エビ~ずの水春が起用された。

 おそらくキャスティングはオーディションもあったと思われるため、前回のぁぃぁぃの高評判もあって、選ばれた3人以外にもスタダ勢は大挙して駆けつけたんじゃないかと思うのだが、その中で勝ち残ったのが3人。

 中でもライバル高校の選手ながらも病身を鞭打ち、最強の白糸台、宮永照を相手に準決勝先鋒戦で死闘を繰り広げた園城寺怜は全出演者のなかでも印象的な存在。咲良菜緒はこの準主役級といってもよい役どころを見事に演じきったが、これはもうけ役だったのではないか。とはいえ、チームしゃちほこの中でもさばさばとした性格に見えて、病弱感がまったくない咲良が本当にこの役柄でよかったのかどうかというのは若干疑問を感じなくもないのだが。

 映画のセリフとしてもっとも印象的だったのは深山幽谷の主、高鴨穏乃の「そこはもうあなたのテリトリーじゃない」という言葉。物語のもうひとりの主人公である咲があやつるリンシャンカイホウはすべてこの「深山幽谷の主」が支配する牌の山の最も奥にある。はやく決勝戦が見たい。果たして咲はそのエリアでは大星淡の支配力も天江衣の支配力も無効化する穏乃に立ち向かうことができるのだろうか。

 

原作:小林 立、作画:五十嵐あぐり

阿知賀女子学院. 高鴨 穏乃:桜田 ひより 新子 憧:伊藤 萌々香 松実 玄:恒松 祐里 松実 宥:渡邉 幸愛 鷺森 灼:中山 莉子. 千里山女子高校. 園城寺 怜:咲良菜緒 清水谷 竜華:小倉優香

奇跡の5人の到達点 「MTV Unplugged: Momoiro Clover Z」@MTV

MTV Unplugged(MTVアンプラグド): Momoiro Clover Z」@MTV 

セットリスト
1. サラバ、愛しき悲しみたちよ 
2. WE ARE BORN 
3. DNA 狂詩曲 ●
4. BLAST! 
5. モノクロデッサン 
6. 今宵、ライブの下で
7. ⽩い⾵ ●
8. ⻘春賦
9. マホロバケーション
10. ⾏くぜっ!怪盗少⼥
11. ⾛れ!
12. MOON PRIDE
13. 灰とダイヤモンド

●はテレビでは放映されず。

 これほど楽しみしていたライブ放映もなかったのだが、それがこれほど胸を締め付けられるような気持ちに変わってしまうとは……。アンプラグドでのももクロが素晴らしいということはフォーク村での演目でもある程度分かっていたことだが、このライブは格段の集中力で文字通り「5人のももクロ」の集大成だった。CSでの放送ゆえに一般の人の目に触れにくいのがもどかしい。このライブの映像を一度でも見たら「ももクロは歌が下手だ」などという人はいなくなると思うのに。アンプラグドだといつものライブよりもより、個々の声が粒だって聞こえてくる。それゆえに単純に素晴らしいというだけにとどまらず、「BLAST!」「灰とダイヤモンド」など分かりやすいソロ歌唱部分だけではなく、5人の声が重なる部分などでの下ハモなど縁の下の力持ち的な役割で、杏果が支えてきた部分がももクロ特有のユニゾンやハーモニーに貢献してきたかが、はっきりと分かった。それは「灰とダイヤモンド」の歌詞ではないが今後4人で越えていかなければならない壁の巨大さを改めて感じさせるものでもあった。

4人のももクロと歌割り 坂崎幸之助のももいろフォーク村 第80夜『フォーク村』第80夜記念「Re:Re:」(改題)

坂崎幸之助のももいろフォーク村 第80夜『フォーク村』第80夜記念「Re:Re:」(改題)

 ライブとしては横浜アリーナでのバレンタインイベントが最初になるが、その前に今回のフォーク村が有安杏果卒業後の最初の「4人のももクロ」の披露となる。すでに相当数(13曲)のももクロ楽曲が披露されることが明らかになっているので、フォーク村ではおそらくダンスはないと思われるが、4人のももクロのパフォーマンスはどうなのか、歌割りはどうなるのかというのがとりあえずの注目である。  

 歌割りで個人的に注目というか、予想しているのは普通に考えれば「4人で埋める杏果パート」シフト、つまり従来の杏果パートをできるだけ負担のないように残りの3人に割り振るというのがまず予想されているところが、私がいろいろ考えてみたところ、それ以外のアイデアもありうるのではないかと思われてきた。

 なかでもひょっとしたら有効ではと私が最近思い出したのが、夏菜子シフト。従来も歌いだしや曲のサビ部分など曲の肝となるパートは曲の特性に合わせてまず夏菜子、そして杏果が担当することが多かった。そこでこの案では音域が高かったり、フェイクなど技術的に難しいような杏果パートをほぼそのまま夏菜子に担当させ、その代わりに夏菜子の担当していた部分は主としてれにが担当するという案。特に従来夏菜子の独壇場だった感情のすべてをぶつけて歌うをれにがやるというのは最近のれにの向上した歌唱力、「Hanabi」「希望のかなた」、あーりんと2人版の「白い風」などでみせる大サビの透明感に満ちて天上の声が聞こえるがどうかという歌唱などを聞くと検討してみてもいいのではないかと思ったのだ。これはもちろん、すべての楽曲についてそうだというのではなくて、こうした工夫で新しい「れに曲」が誕生するのではないかという楽しみもある。

 音域が高い杏果パートを誰が肩代わりするかということになれば音域だけを考えればあーりんということになりそうで、このためにはあーりんの歌唱の一段の進化が必要不可欠なのだが、歌唱における表現力を含めて考えると夏菜子という選択肢はありえると考えている。いずれにせよ、ももクロはスタートした時のそれぞれの持ち味から「れに曲」「杏果曲」「詩織曲」「あーりん曲」などと位置づけられたそれぞれ数曲を除くとすべてのメインボーカルを夏菜子が務めてきたが、残りの3人の歌の実力が向上してきたいま、あるいは向上することが必須条件として求められた現在、杏果卒業を好機と捉えてより拮抗した構成に組み替えるというのもありかもしれない。

   さて、ここからは実際の番組を見ての感想。ももクロの歌以外の曲を4人がカバーすることは一度もなかったし、毎回やっていた楽器演奏も今回はなかった。

AnlyとMiyuuというギター弾き語り系のシンガーソングライターがシークレットゲストでやってきたが、ももクロ曲を弾き語りで披露してさえ、コーラスに入るという程度のコラボもなかったから、杏果が卒業を発表して以来、映画主題歌や声優出演の件もあり、本当に時間的な余裕がなかったんだなと思った。ももクロメンバーはゲストが曲を披露している間、ただ座って聴いているだけで番組の半分弱の尺をこれで取ってしまっているため、予想通り批判の声もあがっていたが、ももクロ楽曲をメンバーそれぞれがソロで歌うというブロックやいずみさんが加わり、披露した『5人』の「コノウタ」、村長が参加しての「灰とダイヤモンド」と後半は充実していた。

   歌割りがまだ未決定という事情もあるが、今後夏菜子以外の3人は自分の推し曲がそれぞれ増えるはず。宮本純乃介らが中心になって新しい歌割りの検討を始めているはずだが、杏果パートをこの日歌った「桃色空」のあーりん。ソロコンでも確かこの曲を歌っているし、以前も「ピンクなんだからあーりんの曲でしょ」って言っていたから、きくちPのリクエストだということになってはいたけど明らかにあーりん、自らこの曲は獲りにいっているでしょ(笑)。

 れにちゃんも詩織ちゃんも欲しい曲狙っていった方がいいよ。私の曲だからと思って油断しておっとり構えていると取られちゃうよ(笑)。逆に「ゴリラ・パンチ」はあーりん曲にすべきだと思ってるんだけれど、れにちゃんが油断していると今度はあーりんに「推されたいだから」などと押し付けられるかもよ。盛り上がるいい曲ではあるので「れに曲」でもいいかもだけれど*1

 

 

セットリスト
M01:キミノアト  (村長&ももクロももクロ)
M02:桃色空 (ももクロももクロ)

M03:Re:Re: (Anly&MiyuuAsian Kung-Fu Generation)

M04:Come Together (Anly&村長/The Beatles)
M05:ACROSS THE UNIVERSE (Miyuu&村長/The Beatles)
M06:Southern Waves (MiyuuMiyuu)
M07:Venus (AnlyAnly)
M08:ROCK THE BOAT (Miyuuももクロ)
M09:泣いてもいいんだよ (Anlyももクロ)
M10:ピンキージョーンズ (夏菜ももクロ)
M11:スターダストセレナーデ (れにももクロ)
M12:青春賦 (しおりんももクロ)
M13:ヘンな期待しちゃ駄目だよ…? (あーりん佐々木彩夏 with ももメイツ)
M14:サラバ、愛しき悲しみたちよ (ももクロももクロ)
M15:走れ!  (ももクロももクロ)
M16:コノウタ (ももクロ加藤いづみももクロ)
M17:灰とダイヤモンド (ももクロ&村長/ももクロ)
M18:HAPPY Re:BIRTHDAY (ももクロももクロ)
M19:四つ葉のクローバー (村長かまやつひろし)

*1:あーりんと詩織はやるのを嫌がるような気がする

有安杏果 ももクロとしての最後のライブ 「ももいろクローバーZ 2018 OPENING ~新しい青空へ~」@幕張メッセ 

ももいろクローバーZ 2018 OPENING ~新しい青空へ~」(幕張メッセ) @AbemaTV

 

 

ももいろクローバーZが1月21日(日)に幕張メッセ(9〜11ホール)で大型ライブ『ももいろクローバーZ 2018 OPENING 〜新しい青空へ〜』を開催、会場に29,765人、ライブビューイングに7,472人の計37,237人を動員した。同時にAbemaTVでも無料放送がされ、総視聴者数(累計)220万人(音楽ライブとしては史上最高)を記録した。

  以下、この日で卒業となった有安杏果推しのモノノフ(ももクロのファン)としてこの日のライブをAbemaTV中継で見た印象を書き記す。杏果の卒業についてはもちろん予想外で不意を衝かれたのは確かだが、最初はそれほど大きなショックを受けたというわけではなかった(ように思われた)。 

  ももクロから卒業するだけで音楽活動などは続けると思っていたからだ。しかし、衝撃を受けたのは今回は杏果がただももクロを脱退するというだけでなく、スターダストプロモーションキングレコードとも契約を解消し、芸能活動自体をとりやめるということだったからだ。こちらの方は相当な衝撃で今もそれは後を引いている。*1

 劇団などでは俳優の入れ替わりは常時あるし、それはアイドルでも同じだが、ももクロは国立競技場公演を成功させたあたりから、ザ・ドリフターズSMAP、嵐のように長く継続した活動ができる初の女性グループになるというのが、ひとつの目的になってきており、メンバーの玉井詩織高城れに百田夏菜子らが折に触れ、それを強調していたからだ。そして、それは当然すぎる前提ゆえに毎回それが口にされることはなかったが、現在の5人のメンバーでというのが前提だったからだ。

 ももクロの5人はそこに向かって5人でのパフォーマンスの力を向上させ、それぞれがソロ活動にも取り組んできた、という風に思っていた。しかし、今回、有安杏果が卒業を発表したことで、全員がそろっての強い意思というわけではなかったということが表面化した。有安は抜けて、残った4人がももクロを続けていくことになった。

 今から考えてみると杏果は国立競技場での挨拶でもファンへの感謝こそ語ったりはしても「ももクロの存続」などについて自ら口にしていたことはなかった。それはいつかこういう日が来ることを本人も分かっていたからかもしれない*2

 この日のライブは5人でやる最後のライブということもあり、基本的には杏果が卒業するというセレモニーは最後の方で少しやるだけで、杏果がいる間にファンであるモノノフに、そしてAbemaTVなどを通じてファン以外にも、「ももクロのパフォーマンス」の最高到達点を見せ付けると言う意味があったのかもしれない。

 なかでも素晴らしい出来栄えだったのが「灰とダイヤモンド」「白い風」のバラード曲。ファン以外にはももクロは踊りながら歌う人というイメージが強いため、バラードのイメージは一般の人にはあまりないかもしれないが、踊らないで歌に専念すれば実はどれだけ歌唱力が高いのかを見せつけるのがこうしたバラード曲群。もちろん、杏果の役割は大きいがこの日はほかの4人も絶好調で、ともにこれまでで最高水準のパフォーマンスを披露できたのではなかっただろうか。「灰とダイヤモンド」はこれまで太宰府天満宮に奉納した時のものが最高と思い込んでいたが、映像を見返してみたらその時の空気感などを度外視して純粋にそれぞれの歌のアンサンブルのみを考えたらこの日が最高だったと思う。「灰とダイヤモンド」という曲名がツイッターのトレンド入り(日本1位、世界17位)したらしいが、これもこの曲のパフォーマンスの素晴らしさが一般の人にも感銘を与えたからではないか*3。ただ、これは逆に言えば「灰ダイ」の杏果パートを誰が歌うのかなど只者ではないハードルの高さを逆に見せ付けられることにもなったはずだ))。

 「BLAST!」「DECORATION」といった超絶技巧の最近の曲もこの日はダンス、歌唱ともに「さすが」のパフォ力を見せたのだが、これも4人でこなすのは生半可なことではないと思う。

  

 セットリストを見ると新旧の楽曲がほどよくミクスチャーされている。そういう中で杏果個人に照明を当てた杏果曲(「words of the mind 〜brandnew journey〜」「ゴリラ・パンチ」)のほかに5人のメンバーあるいは5色の色に焦点を与えているために今後は封印とまで言わなくても、特別な理由でもない限りやりにくくなりそうな楽曲(「Z伝説」「モノクロデッサン」)も披露。「行くぜっ!怪盗少女」をお蔵入りさせることはないであろうが、これも現体勢で見せる最後になるわけで、曲割や振り付けを相当根本的に変更しない限りは現状の小変更では難しい曲のひとつなのだ。ただ、単にダンス、歌唱力の優れたメンバーを失うというだけでひとり抜けるのはももクロにとっては相当以上に大きな痛手であることは間違いない。

 意外だったのは「女祭り」でのパフォーマンスなどある意味、杏果を象徴する曲だったともいえる「コノウタ」を歌わなかったことだ。これはひょっとしたらこの次の大きなライブである4人のスタートとなるヴァレンタインのライブで歌うことにしたため温存したかなと想像した。

 

 

 

 

 

 

 

ももいろクローバーZ 2018 OPENING 〜新しい青空へ〜』セットリスト

Z伝説〜終わりなき革命〜

未来へススメ!

ゴリラパンチ

仮想ディストピア

白い風

行く春来る春

ツヨクツヨク

words of the mind 〜brandnew journey〜

BLAST!

DECORATION

行くぜっ!怪盗少女

灰とダイヤモンド

走れ! -Z ver.-

モノクロデッサン

新しい青空へ

あの空へ向かって

 

 

 

*1:その後インフルエンザで倒れてしまいなんとか回復したものの、LVは断念して家でAmebaを見ているので、実際は自分で考えている以上に打撃を受け、弱っているのかもしれない

*2:少なくともこのことについては杏果自身は嘘をついてはいないし、騙されたと怒っているモノノフもいるようだが、杏果がそれを口にしていない以上それはファンの勝手な思い込みだということになると思う

*3:条件は違うとはいえももいろ歌合戦の時のリベンジを果たした形にはなった