[第三次]シアターアーツ 43号 2010夏 6月22日発売
原稿を寄稿した「シアターアーツ」43号が発売になりました。巻頭の「ニッポンの演劇」と題した対談、佐々木氏の演劇観と西堂氏の演劇観がまったく異なり微妙に嚙みあわないのが気になりますが、以前の「シアターアーツ」だったら絶対に載らなかったような内容が今回は取り上げられているのが興味深い。
佐々木氏の対談が巻頭だということもあるでしょうが、アンケートが「00年代の演劇ベスト10」で来ていたので「この人たちは大丈夫なんだろうか?」と一瞬考えたのですが、特集はちゃんと「ゼロ年代の演劇から」となっていて一安心しました。
私は今回は下に挙げた「ゼロ年代演劇ベスト10」の投票と関西からの発言の第一回目として「演劇か? ダンスか? 関西でも進むボーダレス化」という時評を書いています。取り上げたのは地点、KIKIKIKIKIKI、ウミ下着、松田正隆×松本雄吉「イキシマ」。東京で最近話題の「ダンスなのか、演劇なのか」という境界領域の作品が関西にも増えているということを紹介したものですが、 分量も問題もあり、本格的な論考にまでできなかったのが、心残り。この主題については今年のメインテーマとして折に触れ書いていきたいと思います。
特集・ゼロ年代の演劇から──
巻頭対談 ニッポンの演劇 佐々木敦×西堂行人
座談会 ゼロ年代の演劇から 扇田昭彦×野田 学 ×梅山いつき×西堂行人(司会)
解 説
アンケート 国際演劇評論家協会会員に聞く2000年代のベスト舞台)
2000年代ベストテン
2000年代演劇年表 2000〜2009
[論考]
ダンスのこの十年──とりわけコンテンポラリーと言われたダンスのこと 坂口勝彦
二〇〇〇年代のシェイクスピア上演は「人類の黄昏」を映す 桂 真菜[連載]
舞台時評 『ヘンリー六世』、『夢の裂け目』・『夢の泪』 高橋 豊
演劇時評 劇場と劇作家──〈芸術〉への姿勢をめぐって 嶋田直哉
小劇場時評 資本主義を巡る三つの舞台 藤原央登
ダンス時評 腰を据えた脱領域の作業を 石井達朗
関西からの発言 演劇か? ダンスか? 関西でも進むボーダレス化 中西 理
地方からの発言 地方の可能性──福岡の場合 柴山麻妃
世界の演劇 ルーマニアの第七回国際シェイクスピア祭 野田 学
舞台人クローズアップ──竹田恵子オペラひとりっ切り 江森盛夫
[書評]『蜷川幸雄の劇世界』扇田昭彦 著 岡室美奈子[論考]劇場と制度
劇場法による創作環境の変化 柾木博行
演劇への支援をめぐって──芸術創造の現場を豊かにするには 米屋尚子[追悼]井上ひさし
井上ひさしは、世界の作家 今村忠純
演劇と「時間のユートピア」──井上ひさし氏を悼む 扇田昭彦[劇評]
先取りされた未来から見た過去──渡辺源四郎商店『ヤナギダアキラ最期の日』 堀切克洋
雲吹き払う関西の"祭り"──ピッコロ劇団『真田風雲録』 今村 修[上演テクスト]
マクベス -The Day before Tomorrow-
インタビュー──野村萬斎 聞き手・文責=河合祥一郎
「ゼロ年代の演劇ベスト10」雑誌「シアターアーツ」アンケートから(中西理)
1,チェルフィッチュ「三月の5日間」 (神戸アートビレッジセンター)=2004 作・演出岡田利規2,ポツドール「愛の渦」 (新宿シアターTOPS)=2005 作・演出三浦大輔
3,維新派「呼吸機械」 (びわ湖さいかち浜特設水上舞台)=2008 作・演出松本雄吉
4,ミクニヤナイハラプロジェクト「3年2組」 (吉祥寺シアター)=2005 作・振付・演出矢内原美邦
5,クロムモリブデン「なかよしSHOW」 (アイホール)=2004 作・演出青木秀樹
6,五反田団「ながく吐息」 (こまばアゴラ劇場)=2003 作・演出前田司郎
7,シベリア少女鉄道「耳をすませば」 (王子小劇場)=2002 作・演出土屋亮一
8,ポかリン記憶舎「短い声で」 (東京デザインセンターガレリア)=2005 作・演出明神慈
9,弘前劇場・畑澤聖悟「月と牛の耳」 (下北沢ザ・スズナリ)=2001 作・演出畑澤聖悟
10,デス電所「夕景殺伐メロウ」 (精華小劇場)=2006 作・演出竹内佑