アンサンブル・ゾネ(Ensemble Sonne) ダンス公演「霧のようなまなざし」@d-倉庫(東京・日暮里)
演出・構成・振付:岡登志子
音楽監督:Wolfgang Seierl(ライブ演奏)出演:垣尾優 伊藤愛 糸瀬公二 桑野聖子 文山絵真 中村萌 岡登志子
東京公演
2017年
2月13日(月)20:00-
2月14日(火)20:00-
d-倉庫(東京・日暮里)
神戸に本拠を置くコンテンポラリーダンスカンパニー、アンサンブル・ゾネの新作上演。日本を代表するカンパニーのひとつであるという実力を存分に見せつけた舞台だった。演劇の要素や美術など他分野とのコラボレーションなどで命脈を保っている作品が増えている昨今のコンテンポラリーダンスの中でひさびさにダンスそのものの魅力を存分に堪能させてくれた。
この舞台を見ると作品を製作するときのアプローチが以前と比べて大きく変貌しているのではないかということがうかがえた。以前の岡登志子の作品へのアプローチは作品ごとに構想したテーマから紡ぎ出されるイメージのようなものに向けて、ダンサーのアンサンブルを丁寧に仕上げていくことが多かった。そのため、個々のダンサーのムーブメントそのものは多少のバラツキはあっても外部から参加し「異物」的に存在していた垣尾優を除けばアンサンブルの一部としての統一性が強く感じられるものであった。
ソロダンスであればともかくとして、出演者が複数いる今回のような作品で、パフォーマーが演じるキャラクターやその相互の関係が空間の中で織りなす関係性ではなく、ダンサーそれぞれが紡ぎ出すダンスそのもののディティールを純粋に堪能できるというのは稀有なことだ。
この「霧のようなまなざし」という作品では音楽監督であるWolfgang Seierlが構成していく、楽曲の曲想の変化が舞台空間を時間的に分節化していくが、音楽以外にそれぞれのダンサーのパフォーマンスの手掛かりとなるような要素はほぼ存在しない。舞台上には7人のダンサーが現れたり、姿を消したりするが、それぞれのダンサーのあり方はかなりソロダンス的だ。