青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”「南島俘虜記」@こまばアゴラ劇場
作・演出:平田オリザ
出演
Aチーム
森山貴邦(以上、青年団)岩井由紀子 折舘早紀 中藤 奨 西山真来 林ちゑ 船津健太 宮部純子 横田僚平 吉田庸(以上、無隣館)スタッフ
舞台美術:青年団美術部
照明:井坂 浩
衣裳:正金 彩
宣伝美術:梅本恭子 表絵:赤刎千久子 挿絵:鏡味史子
制作:金澤 昭 赤刎千久子Bチーム
川隅奈保子 森山貴邦 由かほる 李そじん(以上、青年団) 大村わたる 小田原直也 鶴田理紗 中藤奨 西村由花 吉田庸(以上、無隣館)
Cチーム
石松太一 伊藤毅 坂倉奈津子(以上、青年団) 大村わたる 尾粼宇内 小寺悠介 寺田 凜 永山由里恵 南波圭 新田佑梨(以上、無隣館)
青年団「南島俘虜記」が今回と同じこまばアゴラ劇場で初演されたのは2003年。どんな感想を抱いたか思い出したくてブログ内検索をしてみたが、2行ぐらいで日記は中断*1しており、観劇したんだということだけが分かった。今回の公演はこまばアゴラ演劇学校“無隣館”の「卒業公演」として青年団+無隣館の合同公演の形でやられているため、青年団の俳優が出演して、いわば平田オリザ演出舞台の演技の規範を提示するというような役柄を果たしているんだろう。そんな風に実際の舞台を見る前は思ったのだが、舞台を見て思ったのはキャリア、実力のある人がそろっていて無隣館の俳優はレベルが高いなあということだった。
特にAチームは青年団の俳優が森山貴邦1人だったということもあって、誰がそうだったのかは事前にキャスト表がなかったら分からなかっただろうと思う。無隣館はキャリアのある実力派と才能溢れる若手の混成軍のようなところがあるのだけれど、このAチームに青年団組がひとりしか出ていないのは特に女優で実力派キャリア組が3人も集まっている座組だからだ。マレビトの会などに出演している西山真来、関西出身で五反田団の宮部純子、世田谷シルクの林ちゑがそうなのだが、特に宮部や西山が平田演出でどんな風に使われるのかに注目していた。
西山、林はそれぞれニンに合った役といえるが、逆に言えば予想通りの役柄で意外性はなかったのに対し、これまで見た舞台では比較的おばさんキャラが多かった宮部が元キャビンアテンダントだったという捕虜役でかわいらしい面を魅力的に演じていたのが予想外によかった。青森中央高校出身で映画「幕が上がる」の同校のシーンや舞台「転校生」にも出ていた折舘早紀の舞台姿をひさびさに見られたのも嬉しかった。
無隣館の女優陣は鶴田理紗、新田佑梨、西村由花らすでに青年団リンクや無隣館の企画公演など複数の若手作家・演出家の舞台に出演してある意味引っ張りだこになっているメンバーもいるが、折舘はいっさいそうした舞台にはこれまで出演していなかった。青年団の正規メンバーに残りたいとこの公演に懸けていたのか、あるいは何か大きな企画のオーデションでも受けていたのか詳細な事情は分からないけれど、今後も彼女の舞台は見ていたい。