ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

『Musee du ももクロ(ミュゼ・ドゥ・モモクロ)~アートの学びをデザインする~』@テレ朝動画

simokitazawa.hatenadiary.jp

『Musee du ももクロ(ミュゼ・ドゥ・モモクロ)~アートの学びをデザインする~』(テレ朝動画)

 ももクロのメンバーが様々なジャンルの現代アートと触れ合い、理解を深めていく番組「『Musee du ももクロ(ミュゼ・ドゥ・モモクロ)~アートの学びをデザインする~』が始まった。毎週2本(約60分)を同時配信していくスタイルのようだが、第1回目はメンバー中でもっとも美術好きとして知られる佐々木彩夏(あーりん)が原美術館を訪問した。

 原美術館が現在「原利夫によるコレクション展」を開催しているのだが、驚いたのはひとつひとつの作品についてかなり時間をかけて紹介し、あーりんの素直な感想などを含め門外漢である視聴者にも分かりやすく作っていることだ。第2回を見てから一緒に分析しないといけないが、「アートとどのように付き合うといいのか」など番組全体の導入部があるということを差し引いても、第1回でジャクソン・ポラック、アンディー・ウォーホル、草間彌生など有名どころが多かったということはあったとしてもそれぞれにかなり時間をかけている。さらに言えばそのうちでも抽象度が高くて、感想が言いにくく普通なら「正直よく分からないです」などと言ってしまいがちな「もの派」の李禹煥の作品について「どう思うか」を聞いているのが面白い。縦に一筆で何本も線を引いた作品について「縦にひいた線は全部が同じように見えるけれども、全部が違う」といった後、「ももクロのライブも同じようなセットリストなら同じに見えるかもしれないが、毎回違う。それと同じようなことじゃないか」と答えて初回からなかなか勘所のいいコメントを繰り出してきている。

 ただ、ひとつだけ気になったのは李禹煥は現在、多摩美術大学名誉教授なんだけれどこの番組、片山正通多摩美術大学教授が監修、ゲストもモデルで多摩美の学生のベックと多摩美勢で固めているけれど第1回だからというので変な忖度はないよね(笑)。

   いまのはもちろん冗談だけれどこの流れからすると軌道に乗ってきたらそのうち直島にロケに行きそうだな。というかぜひ行ってほしい。ももクロが行ったということになればモノノフも出掛けることになって観光客が増えそうだし、万単位は難しくても数千人程度の規模ならば犬島とかならライブできなくもないはず。

 犬島は常連だった維新派も解散してしまったし、非常に不便な場所でも集客できるアートコンテンツを探しているはず。いささか勇み足ではあるが、どうせこういう番組やるならここで培ったネットワークで美術かとかも巻き込んだライブパフォーマンスが出来たら面白いのだが……。

 

 

坂崎幸之助のももいろフォーク村NEXT第81夜 ももクロアンプラグド「ももクロと坂崎とダウンタウンももクロバンドの夕べ」再演@Zepp DiverCity TOKYO

坂崎幸之助のももいろフォーク村NEXT第81夜 ももクロアンプラグド「ももクロと坂崎とダウンタウンももクロバンドの夕べ」再演@Zepp DiverCity TOKYO 

坂崎幸之助 ももいろクローバーZ 本編シークレットゲストミュージシャン無し opening act 栗もえか(ガチンコ3 栗本柚希 鈴木萌花) ダウンタウンももクロバンド 宗本康兵音楽監督 佐藤大剛/竹上良成/加藤いづみ

セットリスト
M01:ピンキージョーンズ (ももクロももクロ)
M02:Yum-Yum! (ももクロももクロ)
M03:何時だって挑戦者 (ももクロももクロ)
M04:境界のペンデュラム (ももクロももクロ)
M05:サラバ、愛しき悲しみたちよ (ももクロ&宗本康兵/ももクロ)
M06:Hanabi (ももクロ&村長/ももクロ)
M07:労働讃歌 (ももクロ&竹上良成/ももクロ)
M08:オレンジノート (ももクロ加藤いづみももクロ)
M09:My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ) (あーりん&佐藤大剛/あーりん)
M10:My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ) (あーりん/あーりん)
M11:3月9日 (れに/レミオロメン)
M12:恋のフーガ (ももたまい/ザ・ピーナッツ)
M13:ら・ら・ら (大黒摩季ももクロ大黒摩季)
M14:元気です (村長&DMB/吉田拓郎)
M15:secret base ~君がくれたもの~ (Go!Go! BAND BOY&GIRLS/ZONE)
M16:キミノアト (ももクロ&DMB/ももクロ)
M17:青春賦 (ももクロ&モノノフ/ももクロ)
M18:白金の夜明け (ももクロももクロ)

 幕張の杏果卒業ライブもバレンタインライブも行けなかったため、この日が4人のももクロを生観戦できる初めての機会となった。ももいろフォーク村はもともとダンスがないし、杏果卒業直後であった先月のフォーク村に引き続き、杏果パートに坂崎幸之助加藤いづみのどちらかが入ってそのまま穴を埋めるような歌割りが多かったため、今後の歌割り、振付がどうなるかについての情報は考えていたよりも少なかったが、杏果パートをメンバーに割り振った曲では予想通りに高音部があーりんに振られていることが、多かったと思う。頑張って何とかこなしてはいたが、余裕をもってとはお世辞にもいえず、しばらくはギリギリの発声が多くなってしまうのは仕方がないかも。
 逆にそういう負担から開放された時のソロ曲での爆発振りは凄かった。ソロコンで発表された2曲も当初はそれまでの曲とかなり曲想が異なり、苦労していたはずだったのだが、この日見ればそんなそぶりは微塵もなく3Bjunior(栗本柚希 鈴木萌花)を引き連れて見事なまでに自分のものとしているさまを披露した。
  高城れにの成長ぶりも特筆すべきだったかもしれない。この日の白眉は坂崎幸之助がドラムに入ってのGo!Go! BAND BOY&GIRLS(ももクロバンド)による「secret base ~君がくれたもの~」*1の演奏でのベース演奏が非常に安定していたことだ。ももクロがバンドをやるというのは楽器演奏を始めた時からのひとつの目標ではあったと思われるが、バンドの核のはずだった杏果の離脱により、これは最近は一時に比べると他メンバーによる演奏機会も減っていたから、諦めたかなと思っていた(事情通のヘビによればメンバーもそれほど乗り気ではなさそうだったし)。
そうなると気がかりだったのはそのためにどうも隠れて猛練習しているっぽかったれにちゃんのことで、これまでウクレレ演奏を固辞していたのはベースのことがあるからかなと思っていたのが、ソロコンではウクレレ披露に意欲を見せたのはこれはベース諦めたかななどとうがった見方をしてしまったのはすまないの一言だ。サポートを入れなくてもリズムがきちんと刻めていたから一気にバンドは可能性を強めてきたと思う。
  ドラムをサポートメンバーでというのは考えてみればプロのバンドでもよくあることだし、たくさんいるはずのプロのドラマーではなくて、坂崎さんを据えたのは杏果の不在に注目を集めさせないという意味では「この手があったか」と感心するほどで、きくちPの巧妙な策だったと思う。レパートリー少しずつ増やしていき(出来ればビートルズ入れてほしい)、いつかバンドでのライブをいう夢が戻ってきた気がする。

*1:演奏を聞いたときには気がついてなかったのだが、この曲は65夜に杏果も入れた5人のももクロバンドで演奏したことがある曲だった。ももクロの20周年記念ライブにシークレットゲストでドラマーが現れて、5人で演奏するなんてことがないかしら。

ミュゼ・ドゥ・ももクロを予習する 現代美術に魅せられて-原俊夫による原美術館コレクション展@原美術館

現代美術に魅せられて-原俊夫による原美術館コレクション展@原美術館

 


2017年12月12日
会期:2018年1月6日[土]- 6月3日[日]
前期: 1月6日[土]- 3月11日[日] / 後期: 3月21日[水・祝]- 6月3日[日] *展示替え休館: 3月12日[月]- 20日[火]

  原美術館ももクロがアートと親しむと言うネット配信番組「ミュゼ・ドゥ・ももクロ」の第1回目に選ばれた。美術好きとはいえももクロ佐々木彩夏(あーりん)が訪問する場所とするなら、一緒に仕事したこともある蜷川実花をはじめ、森村泰昌奈良美智名和晃平やなぎみわ束芋などと興味をひきやすそうな作家が並ぶ後期の展示の方が盛り上がりそうではあるのだけれど、こちらの前期は渋いラインナップながらあーりんがなじみがあるピカソなどより新しい抽象表現主義以降の作家やポップアートのアンディ ウォーホルやロイ リキテンシュタインなど欧米の現代絵画の流れが概観できるキュレーションで、現代美術入門としては適当なのかもしれない。
 草間彌生、篠原有司男はともかくとして、庭に箒を並べていた杉本博司の作品などどのように目に映ったろうか。何にまず食いついたろうという予想に対し、一緒に行った妻の予想は3階にあった「風呂のない風呂」(と妻は呼んでいた)だった。私はピンクではないけれど、真っ赤で塗りこめられた作品だったからイブ・クラインかなと予想。
 ちなみに下の写真のケーキが模していたのはナム・ジュン・パイクの作品。

展示物をモチーフにしたケーキセット(原美術館カフェにて)

>>
【出品作家】
【前期】 アメリカの作家では、戦後絵画に大きな影響を与えた抽象表現主義のジャクソン ポロックやマーク ロスコ、その後続世代を代表するロバート ラウシェンバーグやジャスパー ジョーンズ、世界を席巻したポップアートの代表者であるアンディ ウォーホルやロイ リキテンシュタインなど。そして、前衛的・実験的精神に溢れたヨーロッパの作家たちとして、絵画のジャン デュビュッフェやカレル アペル、彫刻のアルマン、セザール、ジャン ティンゲリーなど。日本の作家では、戦後日本美術を牽引した今井俊満河原温工藤哲巳、宮脇愛子など。また、今も現役で活躍する作家たちでは草間彌生、篠原有司男、杉本博司李禹煥。さらに世界に影響を与えたアジアの作家として、ナム ジュン パイク、艾未未(アイ ウェイウェイ)。
前期出品作品リストはこちらへ(PCから)。

【後期】 安藤正子、荒木経惟、ヤン ファーブル、加藤泉、ウィリアム ケントリッジ森村泰昌奈良美智名和晃平蜷川実花野口里佳、マリック シディベ、杉本博司束芋、ミカリーン トーマス、アドリアナ ヴァレジョン、やなぎみわ(予定・調整中)

「Musee du ももクロ ~アートの学びをデザインする~」に期待する

www.cinra.net

simokitazawa.hatenadiary.jp

natalie.mu

Musee du ももクロ ~アートの学びをデザインする~

 ももクロがアートを学び、紹介するという番組「Musee du ももクロ ~アートの学びをデザインする~」が2月15日から毎週木曜日にテレ朝動画でスタートすることになった。

   詳しい内容は番組が実際に始まってみないと分からないのだが、監修に以前からももクロと懇意な武蔵野美術大学空間演出デザイン学科の片山正通教授(インテリアデザイナー、ワンダーウォール代表)が入り、第1回はあーりんが原美術館でロケ。出演者に韓国出身のモデルで武蔵野美術大学大学院造形研究科在学中のベック(片山教授の教え子?)や美術評論家の橋本麻里が告知されている。

 原美術館では現在『現代美術に魅せられて―原俊夫による原美術館コレクション展』が開催されており、現代美術を俯瞰してみる入門編としては最適の展示ともいえる。あーりんはモノノフに美術好きでも知られるが、好きで見ているのは印象派からせいぜいピカソぐらいと見られ、冒頭にこの美術館を持ってきたことに現代美術も含めてアートの最前線にも触れ合ってもらおうという番組側の並々でない意欲が感じられる。

 美術作家とのトークやアートパフォーマンス鑑賞なども内容の一部として紹介されているので、ぜひももクロライブにも関わったことのある真鍋大渡とのトークも取り上げてほしい。個人的には以前、ももクロのパフォーマンスと関連して論じた(上記)ことがあるニブロールや東京デスロックの作品鑑賞などもどこかで入れてほしいと思う。

 

モノノフによるアイドルミステリ 太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」

太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」

太田忠司「万屋大悟のマシュマロな事件簿」読了。著者のミステリ作家、太田忠司さんは玉井詩織推しのモノノフ(ももいろクローバーZのファン)。この本の主人公は元SPの警備会社社長、万屋大悟。娘が地方都市に活動の拠点を置く、5人組のローカルアイドル「marshmallow15(いちご)」のリーダーをやっていて愛称は「ちおりん」(万屋知識)。コアな観客が十数人というローカルなアイドルではあるが、この5人組、最初は6人いたが、活動初期にひとりが離脱して現在は5人など明らかにあの国民的5人組女性アイドルグループを思わせるところがありありなのだ。

 ミステリファンだけではなく、モノノフ必読の一冊。これを原作にぜひテレビドラマをなど言いたいところだった*1のだが、実はこの本を読んでいる途中で杏果の卒業が発表になってそれどころじゃなくなった。歌が一番上手いメンバーの脱退騒動などの顛末もあり、現実のシンクロ具合いがしゃれではすまない。読んでいて胸が痛くなる場面が随所に出てくるのだ。

 私は緑推しではあるけれどもうこうなったら、作者にはここまで書いたならあのメンバーはきちんと脱退、ソロ歌手デビューをさせてあげてほしい。そして、4人となったアイドルグループの後日談もちゃんと書いてほしい。そして、「万屋大悟のマシュマロな事件簿」では万屋大悟は活躍してもメンバーの活躍の場面は限られていたから、今度は赤川次郎の「四姉妹探偵団」のようにメンバーの4人も事件解決に関与するようなものにしてほしい。その方がドラマ化の可能性も上がるのじゃないかと思うのだが……。

 

万屋大悟のマシュマロな事件簿

万屋大悟のマシュマロな事件簿

 

 

*1:ドラマになったことはないのに表紙に遠藤憲一が使われていることなど作者自身にその色気ありありである