ももクロ&アイドル blog (by中西理)

ももいろクローバーZとアイドルを考えるブログ

ももクロ一座特別公演@明治座(ネタバレレビュー)

 

ももクロ一座特別公演@明治座(ネタバレレビュー)

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    佐々木彩夏 初座長決定!
    笑いあり、涙ありの大江戸娯楽活劇と、ヒット曲満載で贈る歌謡ショーの豪華2 本立て!
    作:鈴木聡
    演出:本広克行
    主演:佐々木彩夏
    出演:ももいろクローバーZ(百田夏菜子 玉井詩織 高城れに
    オラキオ 国広富之 松崎しげる ほか
    第一部 座長・佐々木彩夏
  <b>  大江戸娯楽活劇 『姫はくノ一』</b>
    第二部 
<b>『ももいろクローバーZ 大いに歌う』(仮)</b>

 本広克行監督とももいろクローバーZによる3本目の舞台作品。平田オリザ作による現代口語演劇からももクロ楽曲を使ってのジュースボックスミュージカルと続いて、今回は明治座での座長芝居というこれまでとは全く異なるフォーマットに落とし込みどんな舞台を見せてくれるのかが、今回の注目であった。
 私はももクロのことを音楽や演劇、バラエティーなどのジャンルを横断するような総合エンターテインメントプロジェクトと考えている。その中のひとつのジャンルが演劇なのだが、それゆえその活動の中核が音楽ライブであることは外せないとしてもこれもその本質をなす重要な要素だと考える。そのことはかつて論考としても書いた*1ことがある。
 その中でいくつかももクロに今後実現してほしいことを挙げていたが、実はそれは現在でも道半ばと思っている。
 ただ、実は論考の中で書いたことでかなり理想に近い形で実現していることもあり、音楽劇の要素を色濃く取りいれたライブであるシネマ倶楽部での「THE DIAMOND FOUR」公演*2がそのひとつだった。
  それ以外にいつか実現してほしいのは今回も脚本を担当する鈴木聡が脚本を手掛けたミュージカル「阿 OKUNI 国」の上演で、前回のミュージカル「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」は日本屈指のオリジナルミュージカルである「阿 OKUNI 国」にはまだ遠く及ばないものではあるが、鈴木が絡んでいることもあり、そこに向けての第一歩を記したものと感じた。
 もうひとつの目標と考えているのは劇団新感線が松竹と提携して上演している「アテルイ」のような作品である。これも現時点ではいろんな意味で手が届かない感じではあるが、今回、鈴木・本広コンビがどの程度、単なる商業演劇のいわゆる座長芝居に収まりきらないものを見せてくれるかで、大型歴史劇のようなものに向けての今後の試金石につながるかと注目しているのだ。なお、以前の論考の中では新感線とのコラボにおいておポンチ路線の音楽劇のようなものを思い描いていたのだが、今回の明治座公演でそれに近いようなものはすでに実現しているはずなので、今後手掛けるなら「いのうえ歌舞伎」+ももクロのような本格的な公演であろう。
 さて、実際の明治座の舞台はどうだっただろうか。笑いあり、涙ありのお江戸娯楽活劇の宣伝文句の通りの舞台で、これはももクロ版のドリフターズという感じだろうか。これまでももクロが手掛けた演劇作品というよりは「子供祭り」の延長線上にあって、ただ、アクション、舞台の仕掛け、歌謡ショーの内容など入っている各要素は大幅にグレードアップされている。それ自体はももクロは以前からSMAP、嵐、ドリフターズのようなグループを目指すと以前から公言していたから、ももクロとしての王道であろう。
 見せ場のひとつはももクロがくノ一に扮しての殺陣の場面で殺陣の経験はこれまでほとんどなかったもののダンスの経験を武器に奮闘、連日の猛練習でかなり見映えのするものに仕立てあげた。あーりんはともかく、夏菜子と詩織は身体の切れも鋭く相当なものだと思った。先に挙げた劇団☆新感線的な舞台にせよ、ミュージカル的なものにせよ、ももクロがこれまであまり経験して来なかったことのなかでいつか必要になるのはアクションであるから、今回入門編のような形でそれに取り組むことができたのは凄く良かったと思う。
 第二部の「ももいろクローバーZ  大いに歌う」はライブではあるのだが、今回は最初の2曲はももクロの和の要素の強い楽曲を選び、佐々木彩夏は着物姿で登場。「夢の浮き世に咲いてみな」では第一部に登場した殺陣の担当のアクション俳優が殺陣の演舞を披露するのに合わせて、ももクロが歌うなど第一部と第二部を自然につなぐような演出が導入された。  
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第二部セットリスト

 

ニッポン笑顔百景
夢の浮き世に咲いてみな
ももクロの令和ニッポン万歳! 
笑ー笑
LADY MAY
灰とダイヤモンド
アンコール
THE ROAD SHOW

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 もうひとつの特徴は回り舞台などの劇場機構を積極的に活用、普段のライブ会場では難しい照明効果の多用などショーアップされたライブとなっていたこと。そういうなかで歌った「LADY MAY」「灰とダイヤモンド」はいつも以上にももクロのショーとしての完成度の高さを見せ付けるものとなった。その一方で第一部で登場した俳優たちがバックダンサーとして一緒に踊るなど親密さを強調した演出もあり、座長芝居としてのももクロのリーダーシップを感じさせるものとなっていた。
 総じて明治座商業演劇(座長芝居)というフォーマットの中ではハイクオリティーのものを提供したと思う。
 その上で今後はそれを越えたような演劇としての芸術的価値の高い舞台にも挑戦してもらいたいというのも終了後には感じた。鈴木聡、本広克行という組み合せは娯楽エンタメというカテゴリーでは最高のものを提供できることを証明したし、そういうものもまた見たくはあるけれど、一度タイプの異なる演出家との舞台も見てみたい。劇団☆新感線いのうえひでのりはこれまでも書いてきたが、実現の可能性を考えずにフリーハンドで書いていけば例えば小池修一郎演出+宝塚OGでミュージカルとか堂本光一演出の舞台とか。松竹と真正面から組んで、ももクロ歌舞伎とかも見たい。その場合演出家はやはり猿之助を望んでいるのだが、無理そうならば獅童でもいい(笑)。

ももいろクローバーZ「5th ALBUM『MOMOIRO CLOVER Z』SHOW at 東京キネマ倶楽部」@ストリーミング配信

ももいろクローバーZ「5th ALBUM『MOMOIRO CLOVER Z』SHOW at 東京キネマ倶楽部」@ストリーミング配信

 


2019年5月16日(木)東京都 東京キネマ倶楽部
2019年5月17日(金)東京都 東京キネマ倶楽部

「MOMOIRO CLOVER Z」
1. ロードショー
2. The Diamond Four(作詞・作曲・編曲:invisible manners)
3. GODSPEED
4. あんた飛ばしすぎ!!
5. 魂のたべもの
6. Re:Story
7. リバイバル
8. 華麗なる復讐
9. MORE WE DO!
10. レディ・メイ
11. Sweet Wanderer
12. 天国のでたらめ
13. The Show
(アンコール)
Bounus. ももクロの令和ニッポン万歳!

 

 

 


 ライブはアルバム「MOMOIRO CLOVER Z」を収録曲順にショー仕立てに構成したものだった。
<iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/f-mKBpNsuCU" frameborder="0" allowfullscreen=""></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=f-mKBpNsuCU">【Momoclo MV】ももいろクローバーZ(MOMOIRO CLOVER Z)『The Diamond Four』MUSIC VIDEO</a>
 アルバムのリーディング曲である「The Diamond Four」のMVが黒い衣装を来てライブショーの本番に向かうメンバーの姿を表現しているように今回のアルバムの主題はショーである。
 ももクロのメンバーカラーを思わせる衣装を着た4人のドラァグクイーンが現れ、スカート部分から顔だけを出したももクロの4人が「ロードショー」を歌いだすという意表をついた始まりで見ている観客の度肝を抜く冒頭。その後も小人症の女性ダンサーやアクロバティックな柔軟性を見せる女性、セクシーな衣装のダンサーなど見世物小屋的な意匠の登場人物が次々と現れ、不思議でバーレスクな世界が展開していく。
 アルバムの世界は音楽のジャンルだけでもEDMからラップ、パンク、アンビエントプログレプログレッシブロック)やポップスと千変万化の様相を見せていくが、今回改めて感じたのは歌唱テクニックの向上に加えて、経験を積んだバックのダンサーらと比べても遜色がないダンスの切れ味だった。
 この舞台は客席数500程度というももクロとしては極小と思われる規模の舞台でわずか2日間だけ開催されたのだが、舞台のクオリティーは非常に高く、例えばBUNKAMURAオーチャードホール辺りで1カ月ぐらいの公演をしたとしても十分見合う水準となっているのではないだろうか。アルバム特典の限定配信というだけでは明らかにもったいなさすぎる出来映えであった。
 今から5年前にももいろクローバーZについての論考「演劇としてのももいろクローバーZ」で私は次のように書いた。
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ももいろクローバーZのパフォーマンスは2013年春の「5TH DIMENSIONツアー」を境に「全力パフォーマンス」を超えた新しい段階に入った。それはさまざまな演劇的な仕掛けを取り入れながら、音楽を核にしてある種の世界観を提示していくという総合エンターテインメントへの志向である。
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 この時点では実は総合エンターテイメントの中身にミュージカル風のショーを考えていたが、この直後に映画、舞台の「幕が上がる」(2015年公開)が発表となり、 陣営への本広克行氏の参加も経て、総合エンターテインメント志向のあり方は当時私が考えていたものとは異なる経路をとることになった。しかし、その時から6年の時をへて今回「5th ALBUM『MOMOIRO CLOVER Z』SHOW at 東京キネマ倶楽部」のストリーミング配信を見る限り、「5TH DIMENSIONツアー」で予想したももクロの総合エンタメ(ショービジネス)への接近はここでついに見事に結実したと感じた。
 このショーはミュージカル「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」のような物語の筋立てこそはないが、等身大ではないショーの担い手としてのももクロを体現しており、作り出された世界観のイメージとしてはマイケル・ジャクソンの「スリラー」のMVや「ロッキー・ホラーショー」などを想起させるようなところがある。
 ももクロはアイドルといっても存在そのもののあり方がキャラ的と感じさせるところが強く、それゆえ演劇的な趣向においても本広監督がこれまで手がけてきたような等身大を思わせる人物よりは突飛なキャラクターのほうが強い存在感を発揮するのではないかと考えていたのだが、今回のライブ(舞台)でのももクロのあり方には「5TH DIMENSIONツアー」や「GOUNNツアー」以来の強いキャラクター性が感じられた。
 注目したいのはこのライブを制作したスタッフ陣は演出やダンスの振付ともどもこれまでももクロを演出したことのある佐々木敦規、本広克行振付家の石川ゆみではない別の人の手によるものであることだ。今回演出*1と振付を担当したのはavecooという人。私は全然名前を知らなかったのだが、twitterなどで検索してみるとその新作舞台について知人である舞踊評論家の乗越たかお氏が詳しくコメントしているから、ショー・エンタメ系のダンス界隈では知られた存在なのかもしれない。
<iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/ILoygoIp9d4" frameborder="0" allowfullscreen=""></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=ILoygoIp9d4">『FINAL LEGEND Ⅴ』公演作品動画 |作品名:「阿部魁~艶容女舞鏡~」 振付師:avecoo</a>
  振付・演出を担当したavecooについて少し調べてみるとみるきーNMB48時代のソロ作品の振付を手掛けたことがあるなどアイドル分野でも若干の振付経験はあるようだが、今回の作風を考えてみるとそういうことはあまり関係していないと思われ、むしろ『FINAL LEGEND Ⅴ』というダンスコンペティションのようなイベントで「花魁」を主題としたユニークな群舞=上記映像=で準優勝するなどの実績と、個性的な作風がキングレコードの製作陣の目に留まったのではないかと思われる。
楽曲面ではこのアルバムでもinvisible mannersが「The Diamond Four」「Sweet Wanderer」と複数楽曲を提供、一時期のヒャダインにとって代わるような活躍を見せているほか、CHAI、GLIM SPANKYなどの若いアーティストに楽曲提供者の裾野を広げているが、振付など他の分野にもそうした動きは広がりつつあるのかもしれない。avecooのダンスの振付はジャズ・ファンク(Jazz-funk)というジャンルに入るもののようで、石川ゆみやAnnaとはかなり違う動きが含まれているのだが、以前にも書いたがももクロメンバーのダンス表現も以前と比べればいろんなことに対応できるように底上げされていることもあり、ここでも新しい人も加えることで新しい色を出してきているように思えた。
 この舞台(とあえて書くが)はこの後に続く、ももクロマニア(夏ライブ)、明治座公演にも挑戦状を叩きつけた形になったと思う。特に夏ライブは例年のように佐々木敦規が演出することはないとの情報もあり、誰が演出するのか、いったいどんなものになるのかが本当に楽しみとなってきた。その前に本人は挑戦状を受け取ったとおそらく思っているはずの佐々木彩夏(あーりん)のソロコンも控えているが。


simokitazawa.hatenablog.com

www.momoirocloverz-show.com

*1:演出に関しては分担がよく分からないが複数の共同演出者がいるみたいだ。

「JAPAN JAM2019」参戦記 ももクロライブレポート


3日間で11万人熱狂 JAPAN JAM 2019

「JAPAN JAM2019」参戦記 ももクロライブレポート

 

 

 JAPAN JAM 2019
SKY STAGE 05/04(土)14:15〜
ももいろクローバーZセットリスト
M1 あんた飛ばしすぎ!!
M2 Chai Maxx
M3 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
M4 The Diamond Four
M5 ココ☆ナツ
M6 全力少女
M7 DNA狂詩曲

 この日も昨年一昨年のロッキン(ロック・イン・ジャパン)同様にDMB(ダウンタウンももクロバンド)がロックフェスティバルに降臨。今回はドラムに柏倉隆史、ベースに日向秀和に加え、ギターには元JUDY AND MARYのTakuyaまで引き連れる最強の布陣。昨年のロッキンでもそうであったが、ダウンタウンももクロバンドを帯同したももクロはいまや最高の戦闘能力。少し大げさな表現に聞こえることも覚悟してあえて言うが、本人たちの登場する前からバンドメンバーがサウンドチェックという名前の超絶ソロ演奏を披露。観客であるモノノフ(ももクロファンの総称)からは「DMB」コールが起こる盛り上がりようで、ウォーミングアップ代わりにバンドがインストで「サラバ、愛しき悲しみたちよ」を演奏するとももクロ本人もいないのにファンがさっそくメンバーコールでこれに呼応し、「ももクロってどんな感じなんだろう」と集まってきたロックファンの度肝を抜く前振り。
 しかもこの日はOvertureから登場した百田夏菜子が「ちょっとあんた誰見にきてんのよ?ここに来たってことは分かってる?アイドル地獄に生き埋めにしてあげる」との煽りを見せるや1曲目から激しい曲想のロックチューン「あんた飛ばしすぎ!!」を披露。スタートダッシュでいきなり場内は興奮状態に突入。この勢いは「 Chai Maxx」「行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-」とつながれ「ここだけ次元が違う」の声も聞かれるなどロックフェスはももクロの蹂躙状態となった。
 昨年一昨年のロッキンでも感じたことだが、この種の戦闘モードに入ったときのももクロの破壊力は凄まじい。日本を代表するロックフェスだけあって、この日はもちろんももクロ以外にも優れたパフォーマンスや観客を巻き込んでの盛り上がりを見せるアーティストはほかにもおり、それぞれさすがの実力を感じさせてもらったしおおいに楽しんだ。それでも自分たちのファンだけでなく、周辺の観客も巻き込んでの盛り上がりぶりはこの日一番だったかもしれない。
 この日のももクロのパフォーマンスのもうひとつの売りは近く発売予定の新アルバム「MOMOIRO CLOVERZ」のリード曲である「The Diamond Four」がすでにMVは公開されていたもののライブでは初披露となったことだ。最近は以前のヒャダインに代わりももクロのメイン作家となった感の強いinvisible mannersの提供曲で、生で歌いこなすのには相当の技量が要求される難曲と思われたが、4人はこれを当たり前のように簡単に(見えるように)こなしており、ここ数年、特に4人になって以降のレベルアップを感じさせる内容となった。
<iframe width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="" src="//www.youtube.com/embed/f-mKBpNsuCU"></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=f-mKBpNsuCU">【Momoclo MV】ももいろクローバーZ(MOMOIRO CLOVER Z)『The Diamond Four』MUSIC VIDEO</a>
   「The Diamond Four」は前日に振りをつけたばかりと言いながらもパフォーマンスとしてはすでに完成されていて、新曲披露の時には毎回不安定でファンを心配させていた昔のももクロとの違い、大人の集団としての成熟をはっきりと感じさせた。
  実はこの日はももクロの前にLittle Glee Monsterのライブがあったので見ていて、彼女らの歌の上手さには舌を巻かされた部分はあったが、確かに彼女らが日本の女性ボーカルグループの技術面での最高峰にあるのは認めても、グループでの歌唱とパフォーマンスの総合的な力ではももクロは決して劣っていない。ももクロは確かにそのコーラスで「ジュピター」のようなメロディーを奏でることはできないけれど、「あんた飛ばしすぎ!!」のようなテイストの歌唱はリトグリにはできないし、それでも「下手だ」というならば、ミック・ジャガーは歌が下手だとけなすようなもので、ほとんど無意味なことにしかならないと思われたのである。
 この日の後半はまずはももクロ夏ライブのスーパーウエポンである「ココ☆ナツ」から始まったが、オールスタンディングの野外フェスではかならず皆が「ココココ」という歌詞に合わせて、ニワトリの頭が前後に揺れるような振りをしながら円状になり、ぐるぐると回るココ☆ナツサークルが会場のあちこちで複数できる。これは大規模会場の野外でもブロック分けがされるももクロの単独ライブではほとんどないのが現況であり、ロッキンや氣志團万博などの大規模野外フェスのみで推奨はされないが、自然発生的に起こるのは仕方ないと許容されている贅沢ともいえ、この日もまるで熱帯地域における台風の発生のように群衆でいっぱいになった会場のそこここに渦巻き状のサークルが発生。ほかのバンドで出来るサークルモッシュの円は覚悟なしに巻き込まれるとかなり危険だが、このサークルは女性や子供たちも和気藹々と参加でき、フェスファンの間でも風物詩として認知されつつあるのではないか。
 「ココ☆ナツ」の後は「全力少女」「DNA狂詩曲」と2曲連続でパフォーマンスを行いラストスパート。ファン投票で人気ナンバー1となった実績もある「DNA狂詩曲」はともかく、少し懐かしさのある「全力少女」はなぜセットリストに入ったのかとの疑問は現地では感じていたのだが、この日は5月4日(みどりの日)であり、「全力少女」の歌詞に「こどもの日も みどりの日もキミに 会いたい
多すぎるって 五月の祝日」というくだりがあるので十連休の今年にちなんでここに合わせて持ってきたんだということが後に分かったが、実はこういう遊び心もももクロの楽しさなのである。

<b>Little Glee Monsterセットリスト</b>
放課後ハイファイブ
好きだ。
君に届くまで
だから、ひとりじゃない
OVER
SAY!!!
世界はあなたに笑いかけている
Jupiter

 

ロッカジャポニカ「ROCK A JAPONICA “FRONTIER” LIVE ~中野サンプラザ 平成最後のアイドルコンサート~」

ロッカジャポニカ「ROCK A JAPONICA “FRONTIER” LIVE ~中野サンプラザ 平成最後のアイドルコンサート~」

 


2019年4月29日(月・祝)東京都 中野サンプラザホール
OPEN 16:00 / START 17:00

 

 


OVERTURE
ダサくなきゃ信じない
放課後アフタースクール
ワールドピース
独特道徳ドクトリン
最the高
タンバリン、凛々
DIVE TO VIEWS全力大実験!
MUSIC FANTASY
Dreaming Road
NEW CROWN
Memories
SPARKLE TOUR!!
ぶっちぎりデイズ!!
BUSY
わたしの地図
Saint Mental gift
だけどユメ見る
記憶のサイズ
タコ感 ロッカジャポニカ
Chillっ子同盟


アンコール
教歌SHOCK!
走れ!
歌いたいのうた

<iframe width="560" height="315" src="//www.youtube.com/embed/MAAh8gfNQSg" frameborder="0" allowfullscreen=""></iframe><br><a href="https://youtube.com/watch?v=MAAh8gfNQSg">ロッカジャポニカ vs アメフラっシ ロッカジャポニカ編</a>

 私はロッカジャポニカの熱心なファンというわけではないので、ファンの人の前でうかつな発言はできないなと思っているのだが、アメフラっシとの対パンライブ*1で敗れたのをニコニコ動画で見ていて「外からみると停滞感を感じるのだが、実際のところパフォーマンスはどうなっているんだろう。あるいはこの敗北を糧にどのように立て直してくるのだろう」と興味を持ち、ネット観戦した直後にチケットをとったのだった。ところがそれからそれほど日にちもたたないうちに休んでいたメンバーが脱退を発表。しかも、続けてリーダーまでが脱退することを知り、「これはただごとじゃない」と感じ、今回のライブは俄然注目のライブとなった。
 それでは実際に見ていての印象はどうだったのか?ライブのパフォーマンス自体は素晴らしかった。この日卒業する内山あみ(あみぽん)はもちろんのこと、残りの3人のメンバーからも気迫が感じられたし、駆け付けた「おともだち(ファンの総称)」も含め一体感がとても印象的だった。ももクロなど最近の例を見てもメンバーの卒業、脱退というのはアイドルグループにとって非常にデリケートな問題であり、ももクロ以外にもスターダストプラネットのグループに限ってもここ最近だけをとってさえ、何人もの卒業(脱退)を出しており、卒業時の処理を誤るだけでファンのモチベーションが失速し、それがグループの勢いを殺すことにもなりかねない。中野サンプラザといえばももクロファンは早見あかりの脱退したライブを思い起こさざるをえない。
 あの時は残りのメンバー全員がひとりづつあかりんに挨拶したうえで「送る歌」を歌うという涙なくしては見られないけっこう派手な演出があったうえに最後にあの謎のZが突然映像と映し出されて終わったわけだが、今回は予想通りにもう少し丁寧な演出。まず通常のライブ同様にライブは進行していくが、着替えのタイムングをかねて映された映像ではこれまでのロッカジャポニカの歴史がまとめられて、歴史であるだけにこれにはすでにグループを離れてしまっている椎名るかの姿も映し出されて「5人のロッカジャポニカ」というのが強調されるものになっていた。ももクロやたこ虹などの例を見てもグループからの卒業のみにとどまらず会社との契約も解消される場合は過去のその人の存在をどのようにするかということにはけっこう微妙なものがあって、いっさい触れないということまではいかなくても普段の活動ではあまり触れないといいうのが普通のことかもしれない。ところが今回のライブで驚かされたのは途中のパートで過去のライブの映像を流しながら、その曲をパフォーマンスし、しかも映像と同時に流した音源には椎名るかの歌が入っていて、しかも残りの4人のパフォーマンスではダンスのフォーメーションで椎名のポジションを空席にするという演出があり、そのことに気がついたファンがすぐに対応して「るったんコール」で応じるというちょっと感動的な場面があった。
 そして、アンコール後には残されたメンバー3人(高井千帆内藤るな平瀬美里)の脱退する内山あみへの言葉があり、内山のメンバーとしては最後の挨拶もあったのだが、それ以上に驚かされたのは脱退した椎名るかが突然ステージ上に姿を現したことだ。しかもこれはほかのメンバーも知らされていないサプライズでもあり、内山への言葉の後、すでに涙ぐんでいた内藤るなはここで大号泣。実に感動的なエンディングとなった。
 実はその前にメンバーの口から「ロッカジャポニカは5人だ」との発言が相次いでいたので、ここから先の展開も予想するべきではあったが3人になっての最後の挨拶で、高井千帆の口から「ロッカジャポニカは5人なのできょうで解散します」の言葉が発せられた時は場内に一瞬こおりついたような時間もあったのだが、すぐに続いたほかのメンバーの挨拶などでグループは解散するが、残された3人は新ユニットを結成、7月のレーベルフェスで披露されるとの情報が伝えられ、安堵の雰囲気が場内を支配した。この新ユニットがどのようなものになるのだかはまだ明らかではないのだが、とりあえず脱退するメンバー推しも含め、ファンにも期待を抱かせ満足感も与えられる内容ではあって軟着陸に成功したのではないだろうか。

*1:このライブはアメフラっシのパフォーマンスが見たくて見ていた。実際にこの時のアメフラっシには、アイドルにはそういう時期があるものだがまだあら削りながら怖いもの知らずのとてつもない勢いを感じさせた

ももクロ 春の一大事2019 in 黒部市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~2日目

ももクロ 春の一大事2019 in 黒部市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~2日目

 


【日程】2019年4月20日(土)・4月21日(日)
【会場】富山県黒部市宮野運動公園 【MAP】
【DAY1】2019年4月20日(土)
【DAY2】2019年4月21日(日)
両日共通:open 13:15 / start 15:00 / (17:30終演予定)
※当日の公演内容によって終演時間が前後する場合がございます。
※雨天決行・荒天中止

セットリスト
00. overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
01. 行く春来る春
02. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
03. 仮想ディストピア
04. DNA狂詩曲
05. 吼えろ
06. カントリーローズ -時の旅人-
07. おどるポンポコリン
08. 笑ー笑 ~シャオイーシャオ!~
09. サラバ、愛しき悲しみたちよ
10. 仏桑花
11. ツヨクツヨク
12.
13. Chai Maxx
14. ももいろパンチ
15. 天国のでたらめ
16. 青春賦
<アンコール>
17. イマジネーション
18. ももクロのニッポン万歳!
19. 走れ! -ZZver.-
20. Guns N' Diamond
21. キミノアト

ももいろクローバーZ「MomocloMania2019 -ROAD TO 2020- 史上最大のプレ開会式」
2019年8月3日(土)埼玉県 メットライフドーム
2019年8月4日(日)埼玉県 メットライフドーム

ももクロ春の一大事 2020
2020年4月18日(土)※会場未定
2020年4月19日(日)※会場未定

 ももいろクローバーZももクロ)は4月20、21日に富山・黒部市宮野運動公園でライブイベント「ももクロ 春の一大事 2019 in 黒部市 ~笑顔のチカラ つなげるオモイ~」を開催した。ももクロの春ライブは「春の一大事」と題して、各地方の地方自治体と提携し、共同開催する今の形を取るようになってこれが3回目。これまで埼玉県富士見市滋賀県近江市と続き、今回は富山県黒部市での開催されたが、特にこの2回はももクロ陣営が全国の自治体からライブの候補地を公募。アイドルと地域の新たな関係性を模索するような形を一種の社会実験的な実例として試みているといってもいいかもしれない。
 その意味では今回の黒部市での「ももクロ春の一大事」は黒部市や観光関連業界、コラボ商品に参加した食品業界にとっても実際の売り上げ以上にPR効果として大きなメリットがあったものもようであり、このところ大規模な野外ライブの会場確保に苦慮してきたももクロ陣営としてもメリットのあるものでウィンウィンの関係を築いたのではないか。振り返ってみれば富士見市のライブでは雨のせいもあり、入場待ちの観客の誘導に苦慮した部分があったが、今回はきわめてスムーズ。思ったよりも入場が順調だったために初日などはあらかじめ指定された時間から少し遅れて入場列に行ってみるとすでに入場が開始されているなどの不満はあったが、正直言って自分の番号は両日とも1000番以上だったため、間に合っていたとしてもブロック内の好位置につけるということは難しかったわけで、待たされるというストレスが少ないのはよかった*1といえそうだ。
 ライブとしてのこの日のトピックスは晴天に恵まれることの多いももクロライブには珍しく、雨模様の天気だったことだ。ところが野外ライブには本来マイナスでしかないようなそんな要素も野外ならではの興趣に変えてしまうのがももクロのライブだ。
 ライブが始まってからは終始曇天で途中で小雨が降りそうな気配はあったが、何とか持ちこたえていた。ところがももクロとしては雨女として知られている佐々木彩夏の曲(あーりん曲)としてファンの間では知られる「Link Link」が始まるとまるで計ったよう雨脚が強くなり、メンバーが口々にあーりんが雨を降らせた、あーりんもそれを受けてごめんなさいとお得意の茶番劇に入っていく。この流れるような展開がももクロなのだ。

*1:それでも待ち時間が長いとの苦情はまだ散見されるようで改めて難しい問題といえそう。